
ヒヤシンスの水栽培【完全版】|プロが教える初心者でも成功するコツと楽しみ方、よくある失敗と対策、風水と花言葉
Last Updated on 2025年3月20日 by 中島大輔
春の訪れを告げる香り高いヒヤシンス。その美しい花を水だけで育てられることをご存知ですか?
本記事では、ヒヤシンスの基本知識から、初心者でも失敗しない水栽培の方法まで詳しく解説します。球根の選び方、春化処理のコツ、開花までの管理ポイントを押さえれば、冬の室内で美しい花と芳香を楽しむことができます。透明な容器で根の成長も観察できる水栽培で、植物の神秘と季節の変化を感じてみませんか?
1、ヒヤシンスとは?
ヒヤシンスはキジカクシ科ヒヤシンス属の球根植物で、原産地は地中海東部沿岸(トルコ、シリア、レバノン、イスラエル)からイラン、トルクメニスタン付近とされています。16世紀頃から園芸化が始まり、特に18世紀から19世紀にかけてオランダで2,000種以上もの品種が改良されました。現在流通している品種はその中から厳選された約40〜50種類です。
ヒヤシンスには大きく分けてダッチ系とローマン系の2つがあります。
<ダッチ系>
1本の太い茎に大きな花をたくさん咲かせる豪華なタイプ。水栽培に適しています。
<ローマン系>
花が少なく華奢で野趣があり、分球しやすい特性があります。自然風の庭に適しています。

水栽培に適しているダッチ系のヒヤシンス
2、花言葉と風水
ヒヤシンスの花言葉とは
ヒヤシンスの名前はギリシャ神話の美少年ヒアキントスに由来します。太陽神アポロンが愛したヒアキントスは、嫉妬した風の神ゼフュロスによって引き起こされた事故で命を落とし、その血から生まれた花がヒヤシンスとされています。
この悲しい神話を背景に、ヒヤシンスには以下のような花言葉があります。
・哀しみを超えた愛
・紫:「悲哀」「初恋のひたむきさ」「悲しみ」「許してください」
・白:「心静かな愛」「控えめな愛らしさ」
・ピンク:「ゲーム」「しとやかなかわいらしさ」「スポーツ」
・赤:「嫉妬」
・青:「変わらぬ愛」
・黄:「あなたとなら幸せ」「勝負」
ヒヤシンスの風水効果とは
風水的にヒヤシンスは以下のような効果があるとされています。
・浄化作用: 空間の邪気を取り除き、良いエネルギーを引き寄せる
・リラックス効果: 香りによって心を穏やかにし、ストレスを軽減する
・幸運を呼ぶ: 特に紫や青のヒヤシンスは金運や仕事運を上昇させるとされる
・恋愛運アップ: ピンクや赤のヒヤシンスは恋愛運を高める効果があるとされる
玄関や居間の東側または南東に置くと、良い気を呼び込むと言われています。
3、ヒヤシンスを水栽培で育てる方法
栽培に適した時期
ヒヤシンスの水栽培に最適な開始時期は10月〜11月です。この時期に始めると、2月〜4月頃に花を楽しむことができます。
園芸店やホームセンターなどで、9月下旬頃から店頭に球根が並び始め、11月下旬には販売が終わってしまうので、この期間に購入しましょう。
準備するもの
・ヒヤシンスの球根
・大きさ: 球根は大きく、重みのあるものを選びましょう
・状態: 傷や腐りがなく、固くしっかりしたものを選びましょう
・種類: 「水栽培用」「水耕栽培用」と記載されているもの、あるいはダッチ系ヒヤシンスが適しています
・水栽培用の容器
球根が安定して置けるように、球根を水栽培するための専用容器を使用するとよいでしょう。上記写真はWOOTANGで販売している「球根VASE」です。
水栽培の手順
1、球根の春化処理(10月〜1月上旬まで)
ヒヤシンスの球根を10月以降に購入したら、1月上旬まで冷蔵庫に入れて保管しておきます。球根を一定期間、低温にさらすことで、冬を擬似体験させて、発芽スイッチをONにする必要があるからです。これは球根の水栽培ではとても大切なことで、春化処理と呼ばれます。
球根を紙袋に入れます(新聞紙などの紙で包んでもよいです)。
紙が適度に湿気を調整してくれるので、球根が腐らずに元気な状態で保管することができます。
球根を紙袋に入れたら輪ゴムなどで縛って冷蔵庫の野菜室で2〜3ヶ月、保管(春化処理)しましょう。
野菜室は、冷蔵室よりも温度と湿度が高くて、鮮度を保つには最適なので、必ず野菜室に入れて保管してください。
※球根には毒成分が含まれているので、お子様が誤って口に入れないように、十分に注意してください。ヒヤシンスの球根は、リコリンやシュウ酸カルシウムを含んでいるので、誤飲すると下痢や嘔吐、呼吸困難、腎不全などを発症する可能性があります。
2、水栽培のセットアップ(1月上旬〜)
1月上旬になったら、冷蔵庫から球根を取り出して、水栽培を開始します。
球根のお尻の部分がわずかに水に触れる程度の高さまで水を入れます。球根全体に水が触れると、腐る原因になるので注意しましょう。
※水100mlに対してメネデールを1ml程度(100倍希釈)加えると根の発育が良くなります。
3、発根期の管理(水栽培スタート〜2月上旬頃まで)
根が十分に出るまでの間(3〜4週間)は、日の光が当たらない冷暗所(5℃〜10℃)に置いて育てます。
根は暗い空間の方がより成長しやすいので、日の光が当たらない場所で育てましょう。また、気温が高いと十分に発根する前に発芽してしまうので、暖かいリビングなどには置かずに、5〜10℃程度の少し寒い冷暗所(屋外や玄関など)が良いでしょう。
3〜4日に1度程度、水を継ぎ足しましょう。球根のお尻の部分が乾燥してしまうと根が出てこなくなるので、必ず球根のお尻部分が常に水に浸かった状態を保つように注意してください。
4、発根後の管理(2月上旬〜)
冷暗所で約1ヶ月間、水栽培して、球根から十分な根が出てきたら室内に移動させます。
室内の日当たりの良い窓辺などに置いて、開花を促します。
根が伸びてきたら水の量を少し減らします。根の半分が触れる程度にして、球根のお尻部分が水に浸からないようにします。
- 水位の確認: 根の先が水に触れているか定期的に確認します
- 水の交換: 週に1回程度は新鮮な水に交換します
- 温度管理: 生育適温は10〜20℃です。暖房の効いた部屋は避け、やや涼しい場所で管理します
- 日光: 十分な日光を当てることで株が徒長しにくくなります。半日以上は太陽の光が当たる場所が理想的です
室内に移動させてから約1ヶ月程度で花芽が出てきます。
5、開花後の管理方法(3月上旬〜)
水耕栽培を始めて約2ヶ月後、ヒヤシンスが開花します。
開花したヒヤシンスは2週間程度、花を楽しむことができます。
水栽培したヒヤシンスは、一般的に1回の開花で球根の栄養を使い切ってしまうため、花が終わったら処分することが多いです。
再び育てたい場合は以下を試してみてください。
1、花が咲き終わったら、花茎をなるべく根元からカットします。
2、球根を土に植えます。
3、十分に肥料を与えて栄養を蓄えさせれば、翌年も開花する可能性があります。
※鉢よりも庭などの地面に植えた方が開花する確率は高まります
4、ヒヤシンスの水栽培でよくある失敗と対策
失敗 | 原因 | 対策 |
---|---|---|
根が出ない | 低温処理が不十分 球根の質が悪い |
冷蔵庫で3〜4週間保管する 質の良い球根を選ぶ |
球根が腐る | 水位が高すぎる 水の交換不足 |
球根が水に浸からないようにする 定期的に水を交換する |
花が咲かない | 低温処理が不十分 日照不足 |
十分な低温処理を行う 明るい場所で育てる |
茎が徒長する | 光不足 室温が高すぎる |
十分な日光を当てる 涼しい場所で管理する |
花が早く終わる | 室温が高すぎる | 花が咲いたら涼しい場所(玄関や窓辺など)に移動する |
上記のポイントに注意してヒヤシンスを育ててみましょう。
成功の鍵は、10~11月に質の良い球根を選び、冷蔵庫での適切な春化処理を行うこと。球根のお尻だけが水に触れるよう水位に注意し、発根期は冷暗所、その後は日当たりの良い場所で管理しましょう。約2ヶ月で咲く色とりどりの花は、色によって異なる花言葉や風水効果も楽しめます。
初心者でも始めやすく、失敗しても対策を知れば次回は美しい花を咲かせることができるでしょう。季節の変化を室内で感じられるヒヤシンスの水栽培に、ぜひチャレンジしてみてください。
【この記事を執筆した人】WOOTANG代表/植物アーティスト。植物をもっと身近に気軽に育てて欲しいという想いから2020年に水だけ育てる観葉植物ブランド「 WOOTANG(ウータン)」を立ち上げる。その他「植物×アート」制作を行い、インテリア、空間デザイン、メディアなどを通して提案している。
水だけで育てる観葉植物ブランド WOOTANG(ウータン)
水栽培・水耕栽培で育てる観葉植物/サボテン/マイクロ蘭/アボカドの種/球根などを販売中