
さつまいも水耕栽培の始め方|初心者でも失敗しない育て方ガイド
【執筆者】中島大輔(WOOTANG代表)【最終更新日】2025年7月3日
スーパーのさつまいもが、お家の素敵なインテリアに大変身!水耕栽培なら土も必要なく、虫の心配もありません。植物を育てたことがない人でも、水を替えるだけで簡単にできちゃいます。可愛いハート型の葉っぱを眺めて癒されながら、育った葉は美味しく食べることもできるんです。
お部屋に緑があるだけで、毎日がちょっと特別になりますよ。誰でも気軽に始められて、見て楽しい・食べて美味しい、そんな新しいおうち時間の楽しみ方をお教えします。
1、さつまいも水耕栽培の魅力とは?
お部屋を彩る美しいハート型の葉
さつまいもの水耕栽培最大の魅力は、何といっても美しいハート型の葉です。濃い緑色の葉は光沢があり、まるで高級な観葉植物のような存在感を放ちます。
土を使わないため虫の心配もなく、清潔にお部屋を彩ることができます。成長とともに葉の数が増え、10週間後にはボリューム感のある立派なインテリアグリーンに変身します。
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葉と茎が食べられる一石二鳥の楽しみ方
さつまいもの葉と茎は、実は栄養価の高い食材として東南アジアでは日常的に食べられています。ビタミンA、C、鉄分、カルシウムが豊富で、特に葉にはポリフェノールも含まれています。
水耕栽培で育てた葉茎は農薬の心配もなく、安心して食べることができます。観賞用として楽しみながら、定期的に収穫して食卓に上げる。まさに一石二鳥の贅沢な楽しみ方です。新鮮な葉茎は胡麻和えや炒め物、天ぷらなど様々な料理に活用できます。
参照サイト:日本いも類研究会 /シンクヘルス株式会社(さつまいもの栄養成分と効能)
土を使わないから清潔・簡単・失敗しらず
従来の土栽培と違い、水耕栽培は土の準備や虫対策、水やりの心配が不要です。必要なのは容器と水だけ。2〜3日に1度の水交換だけで、誰でも簡単に育てることができます。土を使わないため室内が汚れることもなく、賃貸住宅でも気軽に始められます。
また、根の成長や水の状態が目で確認できるため、植物の調子を把握しやすく、初心者でも失敗しにくいのが特徴です。園芸経験がない方にも自信を持っておすすめできる栽培方法です。
【関連記事】 土を使わず水だけで育てる観葉植物!初心者でも枯らさないWOOTANGの水耕栽培6つの魅力
2、【基本編】さつまいも水耕栽培の始め方
必要な材料と道具を揃えよう
さつまいもの選び方:水耕栽培に適したさつまいもは、表面に傷や黒い斑点がないものを選びましょう。大きさは手のひらサイズ程度が理想的で、品種は紅あずまや鳴門金時などの一般的なものがおすすめです。
容器の選び方:さつまいも水耕栽培には、WOOTANGの水耕栽培専用の器がおすすめです。さつまいもを支えるふた部分と水を貯める器に分かれた設計で、初心者でも失敗しにくく安定した栽培が可能です。透明なガラス容器なので根の成長を観察でき、スタイリッシュなデザインでインテリアにも映えます。さつまいも栽培を終えたら、そのままおなじ観葉植物を育てることもできます。器のサイズは、さつまいもの大きさによりますが、MサイズかLサイズがおすすめです。
さつまいもの上下の見分け方(水に浮かべる方法)
さつまいもの水耕栽培で最も重要なのが、上下を正しく見分けることです。上部からは芽が生えやすく、下部からは根が生えやすい構造になっているため、間違えると発芽に失敗する可能性があります。簡単な見分け方は、ボウルなどに水を張り、さつまいもを浮かべてみることです。浮かぶ方が上部、沈む方が下部になります。これは、上部の方が密度が低く、空気を含んでいるためです。
【参考記事】さつまいもの上下の違い(日本植物生理学会)
器への設置方法と水の適切な量
さつまいもの下部(根が出る方)が下になるように、器の中に慎重に設置します。
水の量は重要で、さつまいもの下部が約10cm浸かる程度が理想的です。水が多すぎると腐敗の原因となり、全体がふやけて失敗の元になります。逆に少なすぎると発根に必要な水分が不足し、芽が出にくくなります。水位は常に一定に保つよう心がけ、蒸発によって減った分は随時継ぎ足しましょう。
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置き場所の選び方(日光)
適切な置き場所選びが成功の鍵を握ります。発根と発芽を促すためには、屋外や南向きの窓辺など、1日3〜4時間程度日光が当たる場所が理想的です。ただし、直射日光が強すぎると水温が上がりすぎて根腐れの原因になるため、器の周りにアルミホイルを巻いてください。アルミホイルで遮光すると、水温の急上昇を防げるだけでなく、藻の繁殖を防いだり、反射による収れん火災の防止になります。20〜25度が最適で、寒すぎると発芽が遅れ、暑すぎると水が腐りやすくなります。風通しの良い場所を選び、エアコンの風が直接当たらないよう注意しましょう。置く場所を一度決めたら、頻繁に移動させず安定した環境を保つことが大切です。
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3、【成長記録】週ごとの変化と管理方法
1-3週目:水交換と観察のポイント
最初の3週間は根気強く観察を続ける期間です。水は2〜3日に1度必ず交換し、清潔な状態を保ちましょう。気温の高い時期は水が蒸発して減りやすいため、毎日水位をチェックして必要に応じて継ぎ足します。
この時期はまだ目立った変化は現れませんが、よく観察するとさつまいもの表面に小さな白い点(発根の兆候)が見えることがあります。水が濁ったり臭いがしたりした場合は、すぐに新しい水に交換してください。
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4-6週目:発芽の兆候と根の成長
4週目頃から待ちに待った変化が現れ始めます。個体差はありますが、一般的に4〜8週間程度で発芽するため、この時期は特に注意深く観察しましょう。最初は下部から白い根のような突起が現れ、上部からは小さな芽が顔を出し始めます。
6週間後には明らかに芽と根の区別がつくようになり、根はまだ短いものの、確実に成長していることが確認できます。この時期も水交換は継続し、発芽が始まったからといって水の管理を怠らないことが重要です。成長の兆候が見えたら、より丁寧に観察を続けましょう。
6-8週目:葉が茂り始める時期の管理
8週間後には劇的な変化が現れます。さつまいもの葉が生い茂り、濃い緑色の美しいハート型の葉が次々と展開します。
このくらい成長すると光合成が活発になり、成長速度が格段に加速します。根もたくさん生えてきて、白い根が水中を漂う美しい光景を楽しめます。葉がある程度茂ったら、明るい室内に移動させても十分育ちます。ただし、急激な環境変化は避け、少しずつ慣らすように移動させましょう。
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8-10週目:ボリューム満点のインテリアに
10週間後には、さつまいもの全面から美しい葉が茂り、ボリューム感のある立派なインテリアグリーンに成長します。根も器いっぱいに生え、まるで白い髪の毛のように水中を漂います。
この時期になると、もはや普通の観葉植物と遜色ないほどの存在感を放ちます。根が器からはみ出すようになったら、より大きな器に移し替えることを検討しましょう。葉の数も大幅に増えるため、一部を収穫して食用にしても全体の美観を損なうことはありません。まさに観賞と実用を兼ね備えた理想的な状態と言えるでしょう。
4、【食用編】さつまいもの葉と茎を美味しく食べよう
収穫のタイミングと方法
さつまいもの葉と茎の収穫は、葉が十分に茂った8週目以降から可能です。収穫のタイミングは朝の涼しい時間帯が最適で、葉に水分が豊富に含まれているため新鮮さを保てます。収穫方法は、茎の根元から3〜5cm程度を残してハサミで切り取ります。
一度に全部収穫せず、全体の3分の1程度にとどめることで、継続的に観賞用としても楽しめます。若い葉や茎の方が柔らかくて美味しいため、成長しすぎた固い部分は避けましょう。
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下処理の方法(アク抜きのコツ)
さつまいもの葉と茎にはアクが含まれているため、下処理が重要です。まず、收穫した葉茎をしっかりと水洗いし、茎についた根や汚れを取り除きます。茎は少し固いので、周りの皮(筋)を取ります。
茎は3〜4cm程度の長さに切り揃え、葉は大きすぎる場合は半分に切ります。沸騰したお湯に塩を少し加え、茎から先に入れて1分ほど茹でた後、葉を加えてさらに1〜2分茹でます。
茹で上がったらすぐに冷水にとり、しっかりと冷ましてからギュッと水気を絞ります。
この一連の作業でアクが抜け、食べやすい状態になります。時間をかけすぎると栄養分も流出するため、手早く行うのがポイントです。
さつまいもの茎と葉を使った胡麻和えレシピ
材料(2-3人分)
- さつまいもの葉と茎:100g
- 白すりごま:大さじ2
- 塩昆布:ひとつまみ
- しょうゆ:お好みで
作り方
- 下処理済みの葉茎の水気をしっかり絞る
- ボウルには葉茎を入れて、白すりごま、塩昆布を入れてよく混ぜ合わせる
- 味を見て、薄ければしょうゆを少し足す
- 器に盛り付けて完成
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その他の簡単アレンジ料理3選
①さつまいも葉の天ぷら:下処理した葉に天ぷら粉をつけてサクッと揚げます。塩や天つゆでいただくと、香ばしさが際立ちます。
②茎と葉の炒め物:ニンニクと一緒にごま油で炒め、最後に醤油で味付け。シンプルですが葉茎の甘みが引き立ちます。
③さつまいも葉のお浸し:茹でた葉茎にだし汁をかけ、冷蔵庫で冷やしてお浸しに。さっぱりとした味わいで夏場にぴったりです。
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5、よくある質問Q&A
Q、どのくらいの期間で葉が茂るのか?
A、個体差はありますが、一般的に発芽まで4〜8週間、葉が本格的に茂り始めるまで8〜10週間程度かかります。温度や日照条件によって成長速度は変わり、春〜夏の温暖な時期の方が早く成長します。6週間目頃から目に見える変化が現れ始め、8週間後には立派な葉が茂ります。気温が低い冬場は成長が遅くなる傾向がありますが、室内の暖かい場所に置くことで通年栽培が可能です。
Q、室内だけで育てることはできますか?
A 、はい、可能です。ただし、最初の発芽段階では日光が重要なため、南向きの窓辺など明るい場所に置くことをおすすめします。葉が茂ってきた8週目以降であれば、明るい室内でも十分育ちます。完全に日光が入らない部屋では成長が著しく遅くなるため、最低でも明るい間接光が得られる場所を選びましょう。LED植物育成ライトを使用すれば、日照条件の悪い場所でも健康的に育てることができます。
Q、さつまいもの葉は本当に食べられるの?
A 、はい、さつまいもの葉と茎は立派な食材です。東南アジア、特に台湾や中国南部では日常的に食べられており、「地瓜葉(ディーグアイエ)」として親しまれています。栄養価も高く、ビタミンA、C、鉄分、カルシウム、食物繊維が豊富に含まれています。ただし、生では食べられないため、必ず茹でるか炒めるかして加熱調理してください。アクがあるため下処理も忘れずに行いましょう。
Q、水交換の頻度と水質管理について教えてください
水耕栽培成功の鍵は、適切な水管理にあります。基本的には2〜3日に1度の水交換が理想的ですが、夏場や室温が高い場合は毎日交換することをおすすめします。水が濁ったり、嫌な臭いがしたりした場合は、すぐに新しい水に交換しましょう。使用する水は水道水で十分です。容器も週に1度は中性洗剤で洗浄し、ぬめりや汚れを除去することが大切です。根が白く健康的な状態を保っていれば、水質管理が適切に行われている証拠です。
Q、根が器からはみ出した時はどうすればいい?
10週目以降になると、根が旺盛に成長して器からはみ出すことがあります。この場合、より大きな容器に移し替えるか、はみ出した根を適度に切り取るかの選択があります。移し替える場合は、現在の容器より一回り大きいものを選び、さつまいもにストレスを与えないよう慎重に作業します。根を切る場合は、清潔なハサミで古い根や長すぎる根を取り除きます。根を切った後は水を新しいものに交換し、数日間は特に注意深く観察しましょう。どちらの方法も植物の成長を妨げることなく、健康的な状態を維持できます。
Q、葉が黄色くなったり枯れたりする原因は?
葉が黄色くなる主な原因は、水質の悪化、栄養不足、日照不足、根腐れなどが考えられます。まず水を新しいものに交換し、容器も清潔に洗浄してください。栄養不足の場合は、薄めた液体肥料を少量加えることで改善することがあります。日照不足なら、より明るい場所に移動させましょう。根腐れの場合は、黒くなった根を切り取り、新しい容器と水で再スタートします。予防策として、定期的な水交換、適切な日照、清潔な環境維持を心がけることが重要です。早期発見・早期対処により、多くの問題は解決できます。
Q、水が腐らないようにするには?
水の腐敗を防ぐには、定期的な水交換が最も重要です。2〜3日に1度は必ず新しい水に交換し、容器も清潔に保ちましょう。直射日光の当たりすぎる場所や高温になる場所は避け、風通しの良い場所に置くことも大切です。水に市販の植物用活性炭を少量入れると、水質改善効果が期待できます。また、水位が下がりすぎないよう、こまめな継ぎ足しも欠かせません。清潔な環境を維持することで、長期間安定して栽培できます。
6、まとめ
さつまいもの水耕栽培は、美しいインテリアグリーンと栄養豊富な食材を同時に楽しめる、まさに一石二鳥の素晴らしい趣味です。スーパーで購入したさつまいもと簡単な容器があれば、誰でも気軽に始められます。土を使わないため清潔で、虫の心配もありません。
10週間という短期間で立派な観葉植物に育ち、収穫した葉茎は胡麻和えや炒め物として食卓を彩ります。日々の成長を観察する楽しさ、緑に囲まれた心地よい空間、そして自家製野菜の美味しさ。これらすべてを手軽に体験できるのが、さつまいも水耕栽培の魅力です。ぜひ皆さんも、この素敵な体験を始めてみてください。
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【この記事を執筆した人】WOOTANG代表/植物アーティスト。植物をもっと身近に気軽に育てて欲しいという想いから2020年に水だけ育てる観葉植物ブランド「 WOOTANG(ウータン)」を立ち上げる。その他「植物×アート」制作を行い、インテリア、空間デザイン、メディアなどを通して提案している。<プロフィールページを見る>