
モンステラを水挿しで増やす方法|初心者でも失敗しない挿し木の完全ガイド
【執筆者】中島大輔(WOOTANG代表)【最終更新日】2025年6月11日
モンステラの美しい切れ込み葉に魅了されて育て始めた方も多いのではないでしょうか。そんなお気に入りのモンステラをもっと増やしたいと思ったとき、最も簡単で成功率の高い方法が「水挿し」です。
今回は、モンステラを水挿しで増やす詳しい方法を、初心者の方でも失敗しないよう丁寧に解説します。枝を切って水に入れておくだけで簡単に水耕栽培ができるモンステラの特性を活かして、あなたも挿し木マスターになりましょう。
1、挿し木(水挿し)に最適な時期とタイミング
ベストシーズンは5〜7月
モンステラの水挿しは、成長期である5月から7月に行うのが最も効果的です。
- 気温が20~25℃で安定している
- 湿度が適度に高い
- 植物の活動が最も活発
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避けるべき時期
真夏の猛暑期(8月)や冬場(12月~2月)は避けるのが賢明です。温度変化が激しく、植物にストレスを与えやすいためです。
2、モンステラを挿し木(水挿し)で増やす方法
挿し穂の作り方
モンステラは気根がたくさん生えている茎を使うと水挿しを成功する確率が高まります。気根とは、茎から直接出てくる根のことで、通常は空気中の湿度を吸収したり、他の物体に巻き付いて支えとなったりする役割を果たしています。この気根があることで、モンステラは水中でも新しい根を出すことができるのです。
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気根のすぐ下をハサミでカットします。切る位置は気根から1~2cm下が適切です。ハサミは事前にアルコールなどで消毒しておくと、細菌の感染を防ぐことができます。切り口は斜めにカットすると、水の吸収面積が増えて根の発生が促進されます。一度でスパッと切ることで、切り口を潰さずに綺麗に切断できます。
モンステラの水挿しでは、この気根から新しい根が出てくるので、水に浸かる部分に必ず気根を残しましょう。気根は新しい根の発生源となる重要な器官です。もし気根がない茎を使った場合、根が出る確率は大幅に下がってしまいます。また、気根は水中に完全に浸かるようにすることで、より早く新しい根を出すことができます。
次に水に浸かる部分の葉を取り除きます。葉が水中にあると腐敗の原因となり、水質を悪化させてしまいます。下位の葉は茎の付け根から丁寧に取り外し、上位の葉は2~3枚程度残します。
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輪ゴムで一つにまとめたら挿し穂の完成です。葉をまとめることで取り扱いやすくなり、容器への設置も簡単になります。輪ゴムは茎を傷つけないよう、きつく締めすぎないように注意してください。
水挿しの始め方
水耕栽培用の器にモンステラの挿し穂を入れます。おすすめはWOOTANGのガラス製の水耕栽培容器です。透明な容器を使うことで、根の成長過程を観察でき、異常があった場合も早期に発見することができます。容器の口は広めのものを選ぶと、空気の循環が良好になり、水が腐りにくくなります。
水を高さ3~4cm程まで水を入れます。この時、枝から出ている気根がなるべく水に浸かるように調整してください。気根が水に触れていることで、そこから新しい根が発生します。茎の半分程度が水に浸かり、気根が完全に水中にある状態にしてください。
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直射日光が当たらない明るい場所に置いて、1週間に1度、水を交換します。設置場所は、レースカーテン越しの窓辺など、明るい間接光が当たる場所が理想的です。直射日光は葉焼けの原因となり、また水温の急激な上昇により根の発生を阻害してしまいます。一方で、暗すぎる場所では光合成ができず、植物が弱ってしまいます。
水の交換は非常に重要な作業です。古い水には細菌が繁殖しやすく、これが根腐れの原因となります。週に1度は必ず新しい水に交換し、同時に容器も軽く洗浄してください。水が濁ったり、嫌な臭いがしたりした場合は、すぐに水を交換しましょう。夏場は細菌の繁殖が早いため、週2回程度の交換が安心です。
4週間後
4週間後 挿し穂を確認すると、気根の先から白い根がたくさん生えていました。この白い根は水中根と呼ばれ、水中での生活に適応した根です。最初は細く短い根ですが、時間とともに太く長く成長していきます。健康な根は純白色をしており、触ると弾力があります。
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新しく生えた白い根は水に適応している根なので、このまま水耕栽培で育てることができます。土に植えられた根とは異なり、水中根は水中での栄養吸収に特化しています。そのため、一度水耕栽培を始めたモンステラは、そのまま水だけで長期間育てることが可能です。
水耕栽培を継続する場合は、週に1度、減った分の水を足して、2〜3週間に1度、器の中の水を全部交換しましょう。水を交換する際、器をよく洗って清潔を保つことも大切です。
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3、モンステラの水挿しに関する疑問(Q&A)
基本的な疑問
Q、水挿しに適した茎の長さはどれくらいですか?
A. 10~15cm程度が理想的です。節が2~3個含まれる長さを目安にしてください。短すぎると栄養不足、長すぎると取り扱いが困難になります。
Q、気根がない茎でも水挿しができますか?
A. 可能ですが、発根まで通常の2~3倍の時間がかかります。気根がある茎の方が成功率が高く、発根も早いためおすすめです。
Q、どのくらいの期間で根が出ますか?
A. 条件により異なりますが:
- 気根あり:1~2週間
- 気根なし:3~6週間
- 最適環境:5月~7月の20~25℃で最も早く発根
Q、冬でも水挿しはできますか?
A. 室内温度が15℃以上あれば可能ですが、成長が大幅に遅くなります。暖房で温度を保ち、湿度管理に特に注意してください。
管理に関する質問
Q、水交換の頻度を減らしても大丈夫ですか?
A. 十分に発根するまでの4週間は、週1回の水交換をおすすめします。その後は:
- 週1回、減った分の水を足す
- 2〜3週間に1度、器の水を全部交換する
Q、水挿し後、土栽培に戻ることは可能ですか?
A.可能ですが、失敗する可能性もあります。土栽培に移行する条件が以下です:
- 根の長さが10cm以上
- 複数本の健康な根が発達
- 新芽の活動が確認できる
トラブル対処法
Q、2週間経ってもモンステラの根が全く出てきません。何が原因でしょうか?
A. 主な原因は以下の通りです:
- 気根がない茎を使用:気根のある茎に切り直してください
- 水温が低すぎる:20℃以下の場合、温度管理を見直しましょう
- 光量不足:明るい間接光の場所に移動してください
Q、切り口が黒く腐ってしまいました。どうすれば良いですか?
A. すぐに以下の対処を行ってください:
- 腐った部分を完全に除去:健康な緑色の部分まで切り戻す
- ハサミの消毒:アルコールで清拭してから使用
- 新しい水に交換:容器も洗浄してから使用
- 水交換頻度を増やす:最初の1週間は毎日交換
Q、葉が黄色くなってきました。失敗でしょうか?
A. 必ずしも失敗ではありません:
- 下位葉の黄変:自然な現象で、根に栄養を集中させている証拠
- 全体的な黄変:栄養不足または光量不足が原因
- 対策:直射日光の当たらない明るい場所に移動して様子を見てください
Q、水が緑色になって臭いがします。
A. 藻の発生が原因です:
- 即座に水を全交換:容器を洗浄
- 設置場所の見直し:直射日光を避け、間接光の場所へ
- 遮光対策:容器をアルミホイルで包むなど
- 水交換頻度を増やす:藻が完全になくなるまで毎日交換
安全に関する質問
Q、モンステラの水挿し作業で注意すべきことはありますか?
A. 毒性に注意が必要です:
- 蓚酸カルシウムという毒性成分を含有
- 必ず手袋を着用して作業
- 樹液が肌に付いたら即座に水で洗い流す
- ペットや小児の手の届かない場所に設置
Q、失敗を防ぐために揃えるべき道具は?
A. 以下の道具を準備してください:
- 清潔なハサミ:剪定ばさみまたは園芸用ハサミ
- 消毒用アルコール:道具の清拭用
- 透明な容器:根の観察ができるもの
- 園芸用手袋:安全作業のため
4、まとめ|モンステラ水挿し成功への道のり
モンステラの水挿しは、適切な知識と丁寧な管理があれば、初心者の方でも高い確率で成功させることができます。
成功のポイント再確認:
- 気根のある健康な茎を選ぶ
- 清潔な環境を維持する
- 適切な光と温度で管理する
- 1週間に1度の水交換を怠らない
- 忍耐強く見守る
水挿しで増やしたモンステラは、購入した株とは違う特別な愛着を感じさせてくれるでしょう。自分の手で育てた植物が日々成長していく様子を観察することは、植物栽培の醍醐味の一つです。
この方法の最大の魅力は、特別な道具や高度な技術を必要とせず、誰でも手軽に挑戦できることです。また、根の成長過程を目で見て楽しむことができるため、植物との新しい関係を築くことができます。
失敗を恐れず、まずは一本の茎から始めてみてください。成功の喜びとともに、きっと植物栽培の新たな楽しさを発見できることでしょう。モンステラの水挿しを通じて、あなたの緑のある暮らしがより豊かになることを願っています。
【この記事を執筆した人】WOOTANG代表/植物アーティスト。植物をもっと身近に気軽に育てて欲しいという想いから2020年に水だけ育てる観葉植物ブランド「 WOOTANG(ウータン)」を立ち上げる。その他「植物×アート」制作を行い、インテリア、空間デザイン、メディアなどを通して提案している。<プロフィールページを見る>