
ローズマリー挿し木の育て方|水挿しなら失敗知らず!初心者でもできる完全ガイド
【執筆者】中島大輔(WOOTANG代表)【最終更新日】2025年6月11日
ローズマリーを簡単に増やしたい初心者の方必見!水挿しなら土を使わずに、コップ一つでローズマリーを根っこから育てることができます。適切な時期と方法を守れば、成功率90%以上で新しい株を増やせる魅力的な方法です。
本記事では、水挿しの最適な時期から具体的な手順、よくある失敗の対処法まで、初心者でもわかりやすく完全解説します。おしゃれな水耕栽培でローズマリーライフを楽しみましょう。
1、ローズマリーの挿し木(水挿し)に最適な時期
ローズマリーの水挿しは基本的に年中可能ですが、成功率を高めるためには適切な時期を選ぶことが大切です。
最も適している時期
最も適している時期は春(4〜6月)と秋(9〜11月)です。この時期は気温が安定しており、植物の活動が活発になるため根の発生が早く、成功率も高くなります。特に5月と10月は理想的な時期と言えるでしょう
夏(7〜8月)は高温により水が傷みやすく、水質管理が難しくなります。この時期に挑戦する場合は、エアコンの効いた涼しい場所で管理し、水の交換頻度を増やすことが重要です。
冬(12〜2月)は植物の成長が緩慢になるため、根が出るまでに時間がかかります。暖房による乾燥にも注意が必要で、湿度を保つ工夫が求められます。
2、ローズマリーを挿し木(水挿し)する方法
挿し穂の作り方
まずは大きく成長したローズマリーを用意します。親株は健康で病気のない元気な株を選ぶのがポイントです。新芽よりもある程度成熟した、直径2〜3mm程度の枝を選ぶと成功率が高くなります。
枝先から15〜20cmくらいの長さでカットします。カットする時間帯は植物の水分量が豊富な早朝がおすすめです。切り口は斜めにカットすることで水の吸収面積を広くすることができます。
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次に水に浸かる部分の葉を丁寧に取り除きます。水中に葉が残っていると腐って水質悪化の原因となるので、この作業は重要です。上部には10〜20枚程度の葉を残しておきましょう。
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水挿しの準備
ローズマリーの挿し穂、水耕栽培用の器、ミリオンAを用意します。
器はWOOTANGの水耕栽培用のガラス容器がおすすめです。透明な容器を使うことで根の成長を観察することができ、問題があった場合にも早期発見が可能になります。容器はしっかりと洗浄し、煮沸消毒またはキッチン用の除菌スプレーなどで消毒しておきましょう。
ミリオンAは天然の鉱石(ゼオライト)で水を浄化してくれる効果があります。有害な物質を吸着し、水質を安定させる働きがあるので、根腐れの防止にも役立ちます。

次に器にローズマリーの挿し穂を入れます。複数本挿す場合は、葉同士が重ならないよう間隔をあけて配置してください。
水はローズマリーの枝先が3〜4cm浸かる程度入れます。
直射日光が当たらない明るい場所に置きます。東向きや北向きの窓辺、レースカーテン越しの光が当たる場所が最適です。直射日光は葉焼けや水温上昇の原因となるので避けてください。
1週間に1度、水を交換します。夏場など暑い時期は水が傷みやすいので、週2回程度交換すると良いでしょう。水を交換する際は容器もさっと洗い流し、清潔を保つことが大切です。水位が下がった場合は適宜継ぎ足してください。
【1週間後】
カットしてから1週間ほど経つと、切り口周辺に小さな白いポツポツが現れ始めます。これは根の原基と呼ばれるもので、根が出る前兆です。この段階ではまだ根は短く、1〜2mm程度の長さです。葉に元気がない場合は、湿度を上げるためにビニール袋をかぶせる方法も効果的です。ただし、蒸れすぎないよう時々袋を開けて換気してください。
【2週間後】
根がはっきりと見えるようになり、長さも5〜10mmに成長します。複数の根が出始めるのもこの時期で、健康な根は白くて太いのが特徴です。新しい芽が出てくることもあります。水が濁っていたり嫌な臭いがする場合は、根腐れの兆候かもしれません。すぐに水を交換し、黒くなった根があれば取り除いてください
【3週間後】
根の数が増え、長さも2〜3cmに達します。根が白くて健康的であれば順調に成長している証拠です。茶色や黒っぽい根が見られる場合は、水質に問題がある可能性があるので、水の交換頻度を増やしましょう。
4週間後
ローズマリーの挿し穂からたくさんの根が生えてきました。根の長さは5cm以上になり、数も10本以上出ていることが多いです
新しく生えた白い根は水に適応している根なので、このまま水耕栽培で育てることができます。
より大きく育てたい場合は、この段階で土に植え替えることも可能です。土に植え替える場合は、根を傷つけないよう慎重に取り出し、水はけの良いハーブ用培養土を使用してください。植え替え後は最初の1週間ほど半日陰で管理し、徐々に明るい場所に移動させます。
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3、ローズマリー水挿しQ&A完全版|疑問をすべて解決!
ローズマリーの水挿しに挑戦する際、「これで合っているのかな?」「なぜうまくいかないんだろう?」といった疑問が次々と浮かんできませんか?今回は、ローズマリーの水挿しに関するあらゆる疑問を、カテゴリー別に分けてわかりやすくお答えします。初心者の方から経験者まで、きっと役立つ情報が見つかるはずです。
基本的な疑問
水挿しを始める前に知っておきたい基本的な疑問にお答えします。
Q、ローズマリーの水挿しは初心者でも成功しますか?
A:はい、適切な時期と方法を守れば初心者でも90%以上の成功率で行えます。
ローズマリーは比較的根が出やすいハーブの一つです。特に5月や10月の適期に行い、基本的な手順を守れば失敗することはほとんどありません。園芸経験がなくても、清潔な環境と適切な管理で十分成功できます。
Q、どのくらいの長さで枝を切ればいいですか?
A:15〜20cm程度が最適です。
短すぎると栄養が不足し、長すぎると上部の葉を維持するのが困難になります。親指と人差し指を広げた程度の長さ(約15〜20cm)が、水分バランスと栄養供給の面で最も適しています。枝の太さは2〜3mm程度のものを選びましょう。
Q、どんな容器を使えばいいですか?
A:透明なガラス瓶やプラスチック容器がおすすめです。
透明な容器を使う理由は、根の成長を観察できるからです。問題があった場合も早期発見が可能になります。口が広めの容器の方が枝を入れやすく、水の交換も楽になります。
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販売サイト:WOOTANG
Q、ミリオンAは必ず必要ですか?
A:必須ではありませんが、使用すると成功率が大幅に向上します。
ミリオンAがない場合でも水挿しは可能ですが、水質悪化による失敗リスクが高くなります。代用品として竹炭や活性炭も使えますが、ミリオンAの方が効果的です。どうしても入手できない場合は、水の交換頻度を週2〜3回に増やしてください。
Q、発根促進剤は使った方がいいですか?
A:初心者や冬場の水挿しには特におすすめです。
必須ではありませんが、使用すると根の発生が早くなり、成功率も向上します。特に気温が低い時期や、過去に失敗経験がある方は使用を検討してください。園芸店やホームセンターで500円程度で購入できます。
管理の疑問
日常の管理方法について詳しく解説します。
Q、水がどのくらいの頻度で交換すればいいですか?
A:基本は週1回、夏場は週2〜3回です。
水が濁ったり臭いがする場合は、頻度に関係なくすぐに交換してください。また、水位が下がった場合は交換時期を待たずに継ぎ足しても構いません。清潔な水を保つことが成功の鍵です。
- 春・秋:週1回
- 夏:週2〜3回
- 冬:10日〜2週間に1回
Q、水はどの程度の深さまで入れればいいですか?
A:枝先が3〜4cm浸かる程度が理想的です。
深すぎると下部の葉まで水に浸かってしまい、腐敗の原因となります。浅すぎると十分な水分を吸収できません。コップに例えると、底から指1本分程度の深さが目安です。
Q、どのような場所に置けばいいですか?
A:明るい日陰が最適です。
- 東向きの窓辺(午前中の柔らかい日差し)
- 北向きの明るい窓辺
- レースカーテン越しに光が入る場所
- 蛍光灯の明かりが当たる室内
- 直射日光が当たる南向きの窓辺
- 暗すぎる場所(押し入れの中など)
- エアコンの風が直接当たる場所
Q、水の温度は重要ですか?
A:15〜25℃を維持することが重要です。
温度が高すぎると細菌が繁殖しやすくなり、低すぎると発根が遅れます。室温の水を使用し、極端な温度変化を避けてください。夏場は朝一番の涼しい水、冬場は少し温めた水(人肌程度)を使うと良いでしょう。
Q、一つの容器に複数の枝を入れても大丈夫ですか?
A:大丈夫ですが、適切な間隔を保ってください。
枝同士の間隔は最低3〜5cm程度空けてください。密集しすぎると以下の問題が生じます。
- 葉同士が重なって蒸れる
- 根が絡まって植え替え時に傷つける
- 一本に問題が生じた時に他にも影響する
容器の大きさに対して枝が多すぎる場合は、複数の容器に分けることをおすすめします。
トラブル対応
水挿し中に起こりがちなトラブルと対処法をご紹介します。
Q、2週間経っても根が出ません。何が原因でしょうか?
A:主な原因は時期、温度、親株の状態です。
- 時期が不適切:冬場は2ヶ月かかることもあります
- 温度が低すぎる:20℃以上の環境に移動
- 親株の状態:健康な枝を選び直す
まずは環境を見直し、それでも改善しない場合は新しい枝で再チャレンジしてください。
Q、葉が茶色くなってきました。どうすればいいですか?
A:原因を特定して適切な対処を行ってください。
- すぐに明るい日陰に移動
- 焼けた葉は回復しないので取り除く
- 水を交換し、黒い根があれば除去
- 容器も洗浄し直す
- 下の方の古い葉なら正常な現象
- 新しい葉が出ていれば心配なし
Q、水が濁ったり嫌な臭いがします。
A:すぐに水を交換し、根の状態をチェックしてください。
- すぐに枝を取り出し、流水で根を洗う
- 黒くなった根や腐った部分を清潔なハサミで除去
- 容器を漂白剤で消毒後、よく洗い流す
- 新しいミリオンAと水で再スタート
- 水の交換頻度を増やす
- 水中に葉が残っていないかチェック
- 容器を定期的に洗浄する
Q、根は出たのに上部の葉が枯れてきました。
A:根と葉のバランスが崩れている可能性があります。
- 湿度を上げる:ビニール袋をかぶせて湿度を保つ
- 葉の数を減らす:枯れた葉や大きすぎる葉を除去
- 環境を見直す:風通しが良すぎる場所から移動
- 栄養補給:薄めた液体肥料を少量与える
応用編
水挿しが成功した後の疑問や応用的な内容についてお答えします。
Q、根が出た後、いつまで水耕栽培を続けられますか?
A:適切な管理をすれば数年、継続可能です。
- 定期的な水やり(週1回)、水交換(2〜3週に1度)
- 薄い液体肥料の葉面散布(春〜夏に月1回程度)
- 定期的な剪定で形を整える
- 根が容器いっぱいになったら容器を大きくする
Q、土に植え替えるタイミングはいつですか?
A:根が5cm以上になった段階が理想的です。
- 準備:水はけの良いハーブ用培養土を用意
- 取り出し:根を傷つけないよう慎重に
- 植え付け:小さめの鉢から始める
- 管理:最初の1週間は半日陰で管理
- 順化:徐々に明るい場所に移動
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Q、水挿しから育てたローズマリーの活用方法は?
A:様々な用途で楽しめます。
- ハーブティー(生葉3〜4枚)
- 肉料理の香り付け
- ハーブオイルやハーブソルト
- パン作りのフレーバー
- ドライフラワーにしてサシェ作り
- 生葉を揉んでリフレッシュ
- 入浴時のハーブバス
- 透明容器でのグリーンインテリア
- テラリウムの材料
- ミニブーケやアレンジメント
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3、まとめ
ローズマリーの水挿しは「こんなに簡単でいいの?」と驚くほど手軽な増殖方法です。園芸初心者でも90%以上成功する魅力的な栽培法をマスターしましょう。
今すぐ始められる簡単手順:
- 時期:春(4-6月)・秋(9-11月)がベスト
- 枝の準備:15-20cmを斜めカット、水中部分の葉を取る
- 容器:透明な容器にミリオンA、水は3-4cm
- 場所:明るい日陰(直射日光NG)
- 管理:週1回の水交換だけ
失敗しないコツ:
- 水が濁ったらすぐ交換
- 葉が茶色→日陰に移動
- 根が出ない→温度と時期をチェック
嬉しい活用法: 成功したローズマリーは料理の香り付け、ハーブティー、おしゃれなインテリアグリーンとして大活躍。一度覚えれば何度でも増やせて、お友達にプレゼントしても喜ばれます。
コップ一つから始まる小さな園芸体験が、きっとあなたの暮らしを豊かにしてくれるはずです。今日からローズマリーライフを始めてみませんか?
【この記事を執筆した人】WOOTANG代表/植物アーティスト。植物をもっと身近に気軽に育てて欲しいという想いから2020年に水だけ育てる観葉植物ブランド「 WOOTANG(ウータン)」を立ち上げる。その他「植物×アート」制作を行い、インテリア、空間デザイン、メディアなどを通して提案している。<プロフィールページを見る>