
水耕栽培の観葉植物の根腐れ対策|水替え時の「根洗い」テクニック
【執筆者】中島大輔(WOOTANG代表)【最終更新日】2025年8月13日
水耕栽培で観葉植物を育てる際、最も気を付けたいトラブルの一つが「根腐れ」です。せっかく元気に育っていた植物が、突然元気がなくなってしまった経験はありませんか?実は、その原因の多くは根腐れにあります。
今回は、根腐れを防ぎ、植物をより元気にする「根洗い」テクニックを詳しくご紹介します。
1、「根洗い」とは何か?
「根洗い」とは、水替えの際に古くなって腐った根を流水で洗い流してあげる重要なメンテナンス作業です。
水耕栽培では、植物が新しい根を生やす際に、古い根を腐らせて落とすという自然なプロセス(根の新陳代謝)が起こります。これは植物にとって正常な現象ですが、この腐った古い根が容器内に残り続けることで、水質を著しく悪化させる原因となってしまいます。
なぜ根洗いが必要なのか?
腐った根が水中に残ると、以下のような問題が発生します。
- 水質の悪化:腐敗した根から有害な物質が溶け出す
- 酸素不足:水中の酸素濃度が低下する
- 病原菌の繁殖:腐敗物質が細菌やカビの栄養源となる
- 新しい根の成長阻害:悪化した環境で健康な根が育ちにくくなる
定期的な根洗いを行うことで、これらの問題を未然に防ぎ、植物がより健康的に育つ環境を維持できます。
「健康な根」と「腐った古い根」の見分け方
根洗いを効果的に行うためには、まず健康な根と腐った根を正確に見分けることが重要です。
「健康な根」の特徴
- 色:白色または淡いクリーム色、オレンジ色など
- 質感:固くしっかりしている
- 弾力:適度な弾力があり、指で軽く押しても形を保つ
- 表面:滑らかで艶がある
「腐った古い根」の特徴
- 色:茶色から黒色に変色している
- 質感:グニャグニャと柔らかい
- 臭い:腐敗臭がする場合がある
- 触感:指で触ると簡単に崩れる、または溶けるような感触
【注意すべきポイント】
ただし、植物によっては健康な状態でも黒い根を持つ種類があります。フィカス・アルテシマ、アスプレニウム、フィロデンドロンなどがその例です。これらの植物の場合は、色ではなく質感で判断することが重要です。黒くても固い根は健康な証拠なので、無理に取り除く必要はありません。
根の新陣代謝が活発な植物の種類
以下の植物は特に根の新陳代謝が活発で、定期的な根洗いが効果的です。
- モンステラ:大型の葉を持つ人気の観葉植物
- オキシカルディウム(ブラジル):初心者にも育てやすいツル性植物
- シェフレラ:丸い葉が可愛らしい植物
これらの植物を水耕栽培で育てている場合は、特に注意深く根の状態をチェックしましょう。
2、効果的な「根洗い」の手順
準備するもの
- 洗面器またはボウル(根がしっかり浸かる大きさ)
- 必要に応じて小さなハサミ(園芸用)
手順1:予備洗い
- 洗面器に水を張り、植物の根部分だけを浸します。
- 植物全体を優しく揺すって、古い根や汚れを落とします。
- この段階で、明らかに腐っている根の大部分が自然に取れます。
手順2:流水で本格洗い
- 水道の流水を弱めに出し、根全体に当てます。
- 手で軽く根をしごきながら、残った古い根を洗い流します。
- 力を入れすぎないよう注意:健康な白い根まで取れてしまう可能性があります。
手順3:最終チェック
- 根全体を目視でチェックし、腐った根が残っていないか確認。
- 必要に応じて、明らかに腐敗している部分をハサミで切除する。
3、「根洗い」の頻度とタイミング、よくある失敗例
推奨頻度
2〜3週間に1度の水替えの際に、毎回根洗いを行うことが理想的です。ただし、以下の要因によって調整が必要です:
- 季節:成長期(春〜夏)は頻度を上げる
- 植物の種類:成長の早い種類はより頻繁に
- 環境:温度が高い場所では腐敗が進みやすい
根洗いが特に必要なサイン
以下のような症状が見られた場合は、すぐに根洗いを行いましょう。
- 水が濁りやすくなった
- 水から異臭がする
- 根の周りにぬめりがある
よくある失敗とその対策
【失敗例1】健康な根まで取ってしまう
対策:力を入れすぎず、自然に取れる部分のみを除去する。疑わしい場合は残しておく。
【失敗例2】根洗いの頻度が高すぎる
対策:植物にストレスを与えないよう、適切な間隔を保つ。毎日の根洗いは不要。
【失敗例3】不適切な道具の使用
対策:ブラシなど、根を傷つける可能性のある道具は使用しない。
4、まとめ
「根洗い」は、水耕栽培で観葉植物を健康に育てるための重要なテクニックです。正しい方法で定期的に実践することで、以下の効果が期待できます。
- 根腐れの予防
- 水質の改善
- 新しい根の成長促進
- 植物全体の健康維持
- 長期間にわたる美しい状態の維持
最初は慣れないかもしれませんが、植物の状態をよく観察しながら、丁寧に作業を行うことで、必ず上達します。あなたの観葉植物がより健康で美しく育つよう、ぜひこの「根洗い」テクニックを実践してみてください。
定期的なメンテナンスを通じて、植物との素晴らしい時間を楽しんでいただければと思います。
【この記事を執筆した人】WOOTANG代表/植物アーティスト。植物をもっと身近に気軽に育てて欲しいという想いから2020年に水だけ育てる観葉植物ブランド「 WOOTANG(ウータン)」を立ち上げる。その他「植物×アート」制作を行い、インテリア、空間デザイン、メディアなどを通して提案している。<プロフィールページを見る>
水だけで育てる観葉植物ブランド WOOTANG(ウータン)
水栽培・水耕栽培で育てる観葉植物/サボテン/マイクロ蘭/アボカドの種/球根などを販売中