水耕栽培に関する記事
フィカスの水耕栽培

フィカスの水耕栽培|アルテシマ、バーガンディー品種別育て方・管理方法・トラブル対処

【執筆者】中島大輔(WOOTANG代表)【最終更新日】2025年10月22日

フィカスは水耕栽培にとても適した観葉植物で、初心者に特におすすめです。

本記事では、フィカスの水耕栽培について、特性から始め方、日々のお手入れ方法まで解説します。フィカス・アルテシマやバーガンディーなどの人気品種の違いや、季節ごとの管理ポイント、よくあるトラブルの対処法なども紹介。この記事を読めば、あなたもフィカスを使ったインテリアグリーンを美しく育てられるようになります。

1、フィカスの特徴

水耕栽培への適応性

フィカスの水耕栽培

フィカスは水耕栽培に非常に適した観葉植物で、土を使わずに水だけで美しく育てることができます。特にフィカス属の植物は根が水環境に順応しやすく、水挿しでの発根も比較的容易に行えるため、初心者でも失敗しにくい植物として人気があります。土栽培から水耕栽培への移行も成功率が高く、適切な管理を行えば土栽培と同等以上の美しい株に成長させることができます。

フィカスの水耕栽培では、根の成長が早く、剪定した枝を水挿しすることで新しい株を増やすことも可能で、長期間にわたって楽しめる植物です。特にゴムノキ系のフィカスは樹液に注意が必要ですが、水耕栽培では土栽培よりも管理しやすく、清潔な環境を保ちやすいという利点があります。

 

生育環境

水耕栽培のフィカスアルテシマ

フィカスは亜熱帯から熱帯地域が原産の植物で、温暖で湿度のある環境を好みます。生育適温は20〜28℃で、15℃を下回ると成長が停滞し、10℃以下では葉が落ちて枯死する危険性があります。原産地では森林の中層から上層で生育している種類が多いため、明るい間接光を好みますが、直射日光に当たると葉焼けを起こすことがあります。

耐寒性は比較的弱いため、日本では基本的に室内での栽培が適しています。一方で耐暑性は強く、適切な湿度が保たれていれば35℃程度までの高温にも耐えることができます。フィカスは乾燥に強い印象がありますが、水耕栽培では空気中の湿度管理が重要で、乾燥する環境では葉先が茶色く枯れ込むことがあります。

 

フィカスの種類

フィカス アルテシマ

フィカスアルテシマの水耕栽培

フィカス・アルテシマは黄色い斑入りの葉が美しい人気の品種で、明るい黄緑色のコントラストが室内を華やかに彩ります。水耕栽培でも斑入りの美しさを維持しやすく、成長が比較的ゆっくりなため、長期間同じサイズで楽しめるのが特徴です。葉は楕円形で光沢があり、新葉は明るい色をしていて、成熟すると深い緑色と黄色のコントラストが際立ちます。

 

フィカス バーガンディー

水耕栽培のフィカスバーガンディー

フィカス・バーガンディーは深い赤紫色から黒に近い葉色が特徴的で、シックで高級感のある雰囲気を演出します。新芽は鮮やかな赤色で、成長とともに深い色へと変化していく様子も魅力的です。バーガンディーは比較的成長が早く、水耕栽培でも力強く育つため、存在感のあるインテリアグリーンとして人気を集めています。どちらの種類も水耕栽培での成功率が高く、それぞれ異なる魅力を持っています。

 

花言葉と風水

フィカスの花言葉は「永久の幸せ」「健康」で、その生命力の強さと常緑の性質から、長寿と繁栄の象徴として愛されています。ゴムノキ系のフィカスは特に「永遠の愛」という花言葉も持ち、結婚祝いや新築祝いの贈り物としても人気があります。

風水の観点では、フィカスは「金運」と「仕事運」の向上効果があるとされています。特に丸い葉を持つ種類は金運アップの効果が高いとされ、玄関や仕事部屋に置くことで良い気を呼び込むといわれています。また、上向きに成長する性質から「成長運」「発展運」を高める効果もあるとされ、リビングや書斎に置くことで家族の成長や事業の発展に良い影響を与えるとされています。大きな葉は「邪気を払う」効果もあるとされ、ストレスの軽減や心の安定にも効果があるといわれています。

 

2、フィカスの水耕栽培の始め方

①植物を器にセットする

水耕栽培のフィカスを器に入れている様子

フィカスを水耕栽培で育てる際は、まず水にしっかりと適応したフィカスが必要になります。WOOTANGの植物であれば、最初から水に適応しているので、すぐに水耕栽培を始めることができます。

また、器選びも重要になります。透明なガラス容器を使用すると根の成長を観察できるため、初心者には特におすすめです。また、容器はサンスベリアの幹がぐらつかないよう、しっかりと固定できることも重要です。

WOOTANGの水耕栽培専用の容器なら、器(ガラス製)とふた(木製)がセットになっているので、フィカスをしっかり固定して育てることができるのでおすすめです。

 

②水を入れる

水耕栽培のフィカスに水を入れている様子

容器に水を入れる際は、必ず水道水を使用してください。浄水器を通した水や蒸留水は塩素が除去されているため、雑菌が繁殖しやすくなる危険があります。水道水に含まれる微量の塩素は、水の腐敗を防ぐ自然の防腐剤として機能するため、水耕栽培には最適です。

水を入れる前に、容器が清潔であることを確認し、汚れや油分が付着していないかチェックすることも重要です。フィカスは水温の急激な変化に敏感なため、季節の変わり目や冬場は特に注意が必要です。室温に近い温度の水を使用し、温度差を最小限に抑えることで、根へのストレスを軽減できます。

 

③理想的な水の量

水耕栽培のフィカスの器に最適な水の量を入れた様子

フィカスはあまり水を吸収しない植物なので、あまり水量に神経質になる必要はありません。水の量は一年を通して、高さ2〜3cm程度を保っていれば問題ありません。冬などの低温期は、水をほとんど吸収しなくなるので少なめの1〜2cm程度でも大丈夫です

フィカスの水耕栽培では、根の一部を空気中に露出している状態の方が良い場合があります。特にバーガンディーのような気根を出す種類では、成長すると幹から太い気根が生えてくるので、その気根は全部水に浸けずに、空気中に出しておいた方が元気に育ちます。アルテシマの場合は、水位をやや低めに保つことで、根腐れを防ぎながら健康的な成長を促すことができます。

 

3、日々ケアと管理方法

水耕栽培でフィカスを健康に育てるためには、土栽培とは異なる管理ポイントを理解することが重要です。フィカスは明るい環境と適度な湿度を好む性質があるため、光の管理と水質の維持が成功の鍵となります。

置き場所

水耕栽培のフィカスを明るい場所に置いて育てている様子

フィカスは明るい間接光を好む植物で、レースカーテン越しの窓辺や窓から少し離れた明るい室内が最適な置き場所となります。直射日光は葉焼けの原因となるため避ける必要がありますが、あまりに暗い場所では茎が徒長したり葉の色が薄くなったりする可能性があります。アルテシマのような斑入り品種は、十分な明るさがないと斑が薄くなったり消失したりすることがあるため、特に光量管理が重要です。

冬場の管理には特別な注意が必要です。窓際は夜間に急激に温度が下がるため、夕方以降は部屋の中央に移動させることをおすすめします。フィカスの生育適温は20から28℃前後で、15℃を下回ると生育が停滞し、10℃以下では葉が落ちて枯死の危険性があります。エアコンやヒーターの風が直接当たる場所も乾燥と温度変化の原因となるため避けてください。

フィカスは種類によって光の必要量が異なります。アルテシマのような斑入りや明るい葉色の品種は十分な光量がないと本来の美しさを発揮できないため、より明るい場所での管理が必要です。一方、濃い色の葉をバーガンディーなどは比較的低光量でも育ちますが、健康的な成長のためには明るい環境が望ましいです。

 

②水の交換頻度と水質管理のコツ

水耕栽培のフィカスの器に補水している様子

基本的に週1回は減った分の水を補充し、水位を一定に保つことが重要です。2〜3週間に1度は容器内の水を完全に交換し、新鮮な水と入れ替えます。この際、容器の内側にぬめりや藻が発生している場合は、スポンジなどで丁寧に洗浄し、清潔な状態を保ちましょう。フィカス特有の白い樹液が容器に付着することがありますが、これも定期的な洗浄で取り除きます。

水替えの際には根を優しく水で洗い流すことで、根に付着した老廃物を除去できます。フィカスは樹液の分泌が多い植物なので、根からの分泌物も多い傾向があり、定期的な根の洗浄は健康維持に効果的です。夏場は水温が上昇すると水中の溶存酸素量が減少し、根が酸素不足になりやすくなるため、こまめな水交換がより重要になります。

フィカスの水耕栽培では、水質の変化に対する反応が早いため、異変を見つけやすいという利点があります。水が濁ったり異臭がする場合は、すぐに新鮮な水に交換し、根の状態を確認してください。葉の色つやや新芽の出方も水質の良し悪しを判断する指標となります。特にアルテシマのような斑入り品種は、水質が悪化すると斑の発色が悪くなることがあるため、水質管理は美しさを保つためにも重要です。

 

③最適な肥料の選び方と与え方

水耕栽培のフィカスに液体肥料を葉面散布している様子

水耕栽培でフィカスを現状のサイズで維持する場合、基本的に肥料は必要ありません。しかし、より大きく成長させたい場合や幹を太くしたい場合、葉の色つやを良くしたい場合は、適切な施肥が効果的です。水耕栽培では液体肥料を使用し、春から秋の生育期に月1回程度の頻度で与えます。

肥料を与える際の重要なポイントは、水に直接肥料を入れないことです。肥料は根を傷め、根腐れの原因となります。水耕栽培でおすすめの方法は、液体肥料を葉面散布することです。霧吹きに薄めた液体肥料を入れて葉の表裏にまんべんなく散布すれば、葉から直接栄養を吸収でき、根への負担を最小限に抑えられます。フィカスの光沢のある葉は肥料の吸収も良く、葉面散布との相性が良いです。

水耕栽培に適した肥料としては、ハイポネックス原液やハイポニカ液体肥料などがあり、これらは水耕栽培専用に配合されているため安心して使用できます。フィカスの美しい葉色を維持するためには、チッソ分がやや多めの肥料を選ぶと効果的です。特にアルテシマのような斑入り品種では、適切な施肥により斑の美しさを長期間維持できます。

 

④季節ごとの管理ポイント

春(3月から5月)は新芽が動き始める重要な時期です。明るい日陰で管理し、月1回程度の施肥を開始します。葉水を1日1〜2回与えて湿度を保ち、新芽の成長を促進させましょう。この時期はフィカスの剪定や株分けにも適しており、剪定した枝を水挿しで増殖させるのも成功しやすい季節です。

夏(6月から9月)は生育が最も活発な時期ですが、高温による水質悪化に注意が必要です。水温が30℃を超えないよう、直射日光を避けて風通しの良い場所で管理します。水の交換頻度を増やし、1〜2週間に1度は完全に交換しましょう。冷房による乾燥対策として、葉水の回数を増やすことも大切です。フィカスは暑さに強い植物ですが、水耕栽培では水温管理がより重要になります。

秋(10月から11月)は成長が緩やかになる時期です。肥料の頻度を徐々に減らし、10月以降は施肥を控えめにします。気温の低下に合わせて室内の暖かい場所に移動させ、急激な温度変化を避けるよう配慮します。この時期に形を整える剪定を行うのも良いでしょう。フィカスは落葉の少ない常緑樹ですが、古い下葉が自然に黄変して落ちることがあります。

冬(12月から2月)は休眠期に入るため、15℃以上の場所で管理することが最重要です。肥料の葉面散布は完全に止めます。ただし、暖房による乾燥には特に注意が必要で、フィカスは適度な湿度を好むため、葉水は継続して与えます。水の吸収量が減るため、水位を低めに調整し、根腐れを防ぎます。アルテシマのような斑入り品種は、冬場の光量不足で斑が薄くなることがあるため、できるだけ明るい場所で管理しましょう。

 

4、よくある問題と対処法(Q&A)

Q:フィカスの葉が黄色くなってきました。原因と対処法を教えてください。

A:フィカスの葉が黄色くなる原因はいくつか考えられます。まず一番下の古い葉が1〜2枚黄色くなる場合は、新陳代謝による自然な老化現象なので心配ありません。植物は古い葉に老廃物を溜めて落とし、新しい葉の成長にエネルギーを集中させる性質があります。この場合は黄色くなった葉を根元からハサミで切り取ってください。複数の葉が同時に黄色くなったり、新しい葉まで変色する場合は、水質の悪化根腐れの可能性があります。フィカスは樹液の分泌が多いため水が汚れやすく、定期的な水交換が必要です。水が濁っていないか、異臭がしないか確認し、すぐに新鮮な水と交換しましょう。根が茶色く変色していたり、ぬめりがある場合は、傷んだ部分を清潔なハサミで切り除き、容器を洗浄してから新しい水で管理を再開してください。

 

Q: フィカスの種類によって水耕栽培の難易度は違いますか?

種類によって若干の違いはあります。アルテシマは比較的水耕栽培に適応しやすく、初心者向けといえます。バーガンディーは成長が早く丈夫ですが、濃い色の葉は光合成効率がやや低いため、より明るい場所での管理が必要です。どの種類も基本的な育て方は同じですが、それぞれの特性を理解して管理することが成功の鍵となります。

 

Q: 容器に藻が発生してしまいました。防ぐ方法はありますか?

A: 藻は日光と栄養分があると繁殖しやすくなります。透明な容器を使用している場合、光が当たりやすく藻が発生しやすくなります。対処法としては、容器を遮光性のある素材で覆う、直射日光の当たらない場所に移動させる、水の交換頻度を増やすなどが効果的です。藻自体は植物に直接害を与えることは少ないですが、水質を悪化させる原因となるため、定期的な水の交換が重要です。

 

Q: フィカスの水耕栽培で、冬場の管理で特に注意すべき点は何ですか?

冬場は水温の低下と空気の乾燥が大きな課題となります。水温が10℃以下にならないよう暖かい室内で管理し、冷たい窓辺からは離して置きます。暖房による乾燥対策として、定期的な葉水や加湿器の使用が効果的です。水の交換頻度は減らしますが、2週間以上同じ水のままにしないよう注意が必要です。成長が緩慢になるため、肥料は月1回程度に控え、濃度も通常の半分以下に薄めて与えます。

 

5、まとめ

フィカスの水耕栽培は、土栽培と比べて管理がシンプルで、初心者にも取り組みやすい植物育成方法です。本記事で紹介したポイントを押さえることで、長期間にわたって美しいフィカスを楽しめます。以下は、フィカスの水耕栽培成功のための重要なポイントです。

■ 環境管理のコツ

  • 生育適温は20~28℃で、15℃以下では成長が停滞するため、室内の暖かい場所での管理が必須
  • 直射日光は避け、レースカーテン越しの窓辺など明るい間接光を確保することが大切
  • 冬場は窓際を避け、急激な温度変化を最小限に抑える工夫が重要

■ 水質管理と交換頻度

  • 必ず水道水を使用し、週1回の水位補充と2~3週間ごとの完全な水交換を実施
  • フィカス特有の樹液分泌により水が汚れやすいため、定期的な清掃が不可欠
  • 夏場は水温上昇による酸素不足を防ぐため、こまめな水交換がより重要

■ 肥料と栄養管理

  • 現状サイズの維持なら肥料不要だが、成長促進を希望する場合は液体肥料の葉面散布がおすすめ
  • 根への負担を避けるため、水への直接投入は避け、霧吹きでの葉面散布を推奨
  • 特にアルテシマなど斑入り品種は、適切な施肥で斑の美しさを長期間維持可能

■ 季節ごとの管理ポイント

  • 春は新芽の成長期として施肥と葉水を増やし、剪定による増殖にも適した時期
  • 夏は水質悪化に注意し、交換頻度を増やして葉水による加湿対策を実施
  • 秋から冬は成長が緩まるため施肥を控え、低温と乾燥対策に専念すること

■ よくあるトラブルの対処

  • 複数の葉が同時に黄色くなる場合は水質悪化が原因の可能性が高く、すぐに水を交換
  • 容器内の藻は直接害は少ないが、水質悪化につながるため定期的な洗浄で予防
  • 冬場の葉落ちを防ぐには、15℃以上の環境維持と適度な湿度が鍵となる

これらのポイントを実践することで、フィカスの水耕栽培での失敗を最小限に抑え、四季を通じて美しい観葉植物を室内で楽しめるようになります。