
ポリシャスの水耕栽培|育て方から日々のケアまで初心者向けに徹底解説
【執筆者】中島大輔(WOOTANG代表)【最終更新日】2025年8月19日
ポリシャスの水耕栽培は、園芸初心者におすすめ育て方です。水だけで育てられるので、お部屋を汚すことなく、おしゃれなインテリアグリーンが楽しめます。ギザギザの葉や丸い葉など、品種によって全く違う表情を見せてくれるのも魅力のひとつ。挿し木から始めることもでき、じっくり育てれば立派な株に成長させることも可能です。
この記事では、水耕栽培の始め方から毎日のお手入れ、よくあるトラブルの解決方法まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。難しそうに思えるかもしれませんが、コツを覚えれば意外と簡単。あなたも美しいポリシャスで、お部屋に癒しの空間を作ってみませんか?
1、ポリシャスの特徴
基本情報と名前の由来
ポリシャスは東南アジア、アフリカ、ポリネシアを原産とするウコギ科ポリシャス属の常緑低木です。約100種類以上という豊富な品種が存在し、日本では「タイワンモミジ」という別名でも親しまれています。ギリシャ語の「ポリ(多い)」と「スキアス(影)」が名前の由来となっており、森林に数多く自生することから名付けられました。
豊富な品種とその魅力
ポリシャスの最大の魅力は、その多彩な葉の形状と美しい斑入りです。品種によって葉の形は大きく異なり、細かい切れ込みがあるギザギザした形のフィリシフォリア、丸みのある可愛らしい葉が特徴のマルギナータ、白い斑が美しいスノープリンセスなど、様々な種類が楽しめます。特にフリスビーのように丸い葉を持つフリスビー系や、繊細な切れ込みが美しいフルティコーサ系は人気の高い品種として知られています。
生育環境と安全性
生育適温は20~30℃と暖かい環境を好み、耐暑性は強いものの耐寒性は弱いため、室内での栽培が一般的です。8℃以上で管理すれば葉を落とさずに冬越しが可能ですが、10℃を下回ると生育が停滞するため注意が必要です。ポリシャスは毒性の心配がない安全な観葉植物で、犬猫などのペットや小さなお子様がいるご家庭でも安心して育てることができます。
花言葉と風水効果
ポリシャスの花言葉は「大切な思い出」です。涼しげな雰囲気を持ちながらも、温かい花言葉を持つ魅力的な植物として愛されています。
風水的な効果も期待できる植物として人気があります。フィリシフォリアやフルティコーサなどのギザギザとした鋭い葉を持つ品種は「邪気払い」の効果があるとされており、悪い気を払ってくれるため、気の入り口である玄関や窓際に置くと効果的です。一方、マルギナータやフリスビーなどの丸い葉を持つ品種は「調和」の風水効果があり、家庭内の和を保ち、リラックス効果をもたらすとされています。そのため、リビングや寝室などの家族が集まる場所や休息の場に置くと良いでしょう。
風水効果を最大限に得るためには、植物を元気に育てることが重要です。枯れた葉をそのままにせず、定期的な手入れを行い、ポリシャスが健康で美しい状態を保つよう心がけてください。また、置く場所は整理整頓された清潔な環境にすることで、より良い運気を呼び込むことができます。
水耕栽培への適性
水耕栽培においてポリシャスは特に適した植物として注目されています。根が水に適応しやすく、土を使わずに清潔に育てることができるため、室内でのインテリアグリーンとして人気が高まっています。挿し木からの水耕栽培も比較的簡単で、初心者でも成功しやすい特徴があります。また、幹を太くしたい場合も水耕栽培で長期間育てることで、立派な株に成長させることが可能です。
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2、ポリシャスの水耕栽培の始め方
ドラセナの水耕栽培を始める際は、まず水に適応した株を用意することが大切です。水だけで育てる観葉植物ブランド「WOOTANG(ウータン)」では水耕栽培用のポリシャス(フィリキフォリア)を販売しているので、購入すればすぐに栽培を開始できます。
①植物を器にセットする
水耕栽培に使用する容器は、ガラスやプラスチック製の透明なものがおすすめです。透明な容器なら根の状態や水位が一目で確認でき、管理が容易になります。また、容器はポリシャスの茎がぐらつかないよう、しっかりと固定できることが重要です。WOOTANGの水耕栽培専用の容器なら器(ガラス製)とふた(木製)がセットになっているので、簡単に植物を固定できます。
②水を入れる
容器に水を入れる際は、必ず水道水を使用してください。浄水器を通した水や蒸留水は塩素が除去されているため、雑菌が繁殖しやすくなる危険があります。水道水に含まれる微量の塩素は、水の腐敗を防ぐ自然の防腐剤として機能するため、水耕栽培には最適です。
水温は室温程度が理想的で、極端に冷たい水や熱い水は植物にストレスを与えるため避けましょう。水を入れる前に、容器が清潔であることを確認し、汚れや油分が付着していないかチェックすることも重要です。
③理想的な水の量
ポリシャスは比較的、水をよく吸収する植物なので、特に夏場は水切れに注意が必要です。そのため高温期は根から幹の一部が水に浸かる程度(水の高さ3〜4cm程度)まで水位を上げても問題ありません。冬などの低温期は、水を吸収しなくなるので少なめ(1〜2cm程度)で問題ありません。植物の成長に応じて根の長さも変化するため、定期的に水位を調整し、常に適切なバランスを保つことが成功の鍵となります。
3、日々のケアと管理方法
水耕栽培でポリシャスを健康に育てるためには、土栽培とは異なる管理ポイントを理解することが重要です。特にポリシャスは明るい環境を好む性質があるため、光の管理と水質の維持が成功の鍵となります。
①置き場所
ポリシャスは明るい間接光を好む植物で、レースカーテン越しの窓辺や窓から少し離れた明るい室内が最適な置き場所となります。直射日光は葉焼けの原因となるため避ける必要がありますが、あまりに暗い場所では茎が徒長したり葉の色が薄くなったりする可能性があります。ポリシャス特有の美しい斑入りを維持するためには、十分な明るさが必要です。
冬場の管理には特別な注意が必要です。窓際は夜間に急激に温度が下がるため、夕方以降は部屋の中央に移動させることをおすすめします。ポリシャスの生育適温は20から25℃前後で、10℃を下回ると生育が停滞し、8℃以下では枯死の危険性があります。エアコンやヒーターの風が直接当たる場所も乾燥と温度変化の原因となるため避けてください。
【参考記事】豊かなくらしに寄与する光/光と植物-植物工場(文部科学省)
②水の交換頻度と水質管理のコツ
基本的に週1回は減った分の水を補充し、水位を一定に保つことが重要です。また、2〜3週間に1度は容器内の水を完全に交換し、新鮮な水と入れ替えます。この際、容器の内側にぬめりや藻が発生している場合は、スポンジなどで丁寧に洗浄し、清潔な状態を保ちましょう。
水替えの際には根を優しく水で洗い流すことで、根に付着した老廃物を除去できます。特にポリシャスは他の観葉植物と比較して根からの分泌物が多い傾向があるため、定期的な根の洗浄は健康維持に効果的です。夏場は水温が上昇すると水中の溶存酸素量が減少し、根が酸素不足になりやすくなるため、こまめな水交換がより重要になります。
③葉先が枯れた時の対処法
ポリシャスの水耕栽培において、葉先が枯れてしまうことは比較的よく見られる現象です。特にフィリシフォリアなどの細い切れ込みを持つ品種は、葉先が細く尖っているため、乾燥や環境変化の影響を受けやすく、葉先から枯れ始めることが多くあります。これは植物の水分バランスが崩れ、末端部分まで十分な水分が行き渡らないことが原因です。
葉先の枯れを発見したら、清潔なハサミを使用して、枯れた部分を葉の自然な形に沿って斜めにカットしてください。定期的にカットすれば、見た目も自然で美しい姿をキープできます。
葉先の枯れを予防するための最も効果的な方法は、定期的な葉水です。霧吹きを使用して朝晩の1日2回、葉の表面と裏面にまんべんなく水を吹きかけてください。特にフィリシフォリアのような繊細な葉を持つ品種では、葉水により葉先まで適切な湿度を保つことができ、枯れの予防に大きな効果があります。葉水を行う際は、水滴が長時間葉に残らないよう、風通しの良い環境で行うことも大切です。
室内の湿度管理も重要な要素です。特に冬場の暖房使用時や夏場のエアコン使用時は、室内が極端に乾燥しやすく、ポリシャスの葉先枯れが起こりやすくなります。加湿器の使用や、植物の周囲に水を入れた皿を置くなどして、局所的な湿度を高めることも効果的です。適切な湿度管理により、ポリシャス特有の美しい葉形を長期間維持することができます。
④適切な肥料の選び方と与え方
水耕栽培でポリシャスを現状のサイズで維持する場合、基本的に肥料は必要ありません。しかし、より大きく成長させたい場合や幹を太くしたい場合、葉の色つやを良くしたい場合は、適切な施肥が効果的です。水耕栽培では液体肥料を使用し、春から秋の生育期に月1回程度の頻度で与えます。
肥料を与える際の重要なポイントは、水に直接高濃度の肥料を入れないことです。濃い肥料は根を傷め、根腐れの原因となります。ポリシャスの水耕栽培でおすすめの方法は、液体肥料を葉面散布することです。霧吹きに薄めた液体肥料を入れて葉の表裏にまんべんなく散布すれば、葉から直接栄養を吸収でき、根への負担を最小限に抑えられます。
水耕栽培に適した肥料としては、ハイポネックス原液やハイポニカ液体肥料などがあり、これらは水耕栽培専用に配合されているため安心して使用できます。ポリシャスの美しい斑入りを維持するためには、チッソ分がやや多めの肥料を選ぶと効果的です。
⑤季節ごとの管理ポイント
春(3月から5月)は新芽が動き始める重要な時期です。明るい日陰で管理し、水温が15℃以上になったら月1回程度の施肥を開始します。葉水を1日1〜2回与えて湿度を保ち、新芽の成長を促進させましょう。この時期はポリシャスの株分けにも適しており、挿し木での増殖も成功しやすい季節です。
夏(6月から8月)は生育が最も活発な時期ですが、高温による水質悪化に注意が必要です。水温が30℃を超えないよう、直射日光を避けて風通しの良い場所で管理します。水の交換頻度を増やし、1〜2週間に1度は完全に交換しましょう。冷房による乾燥対策として、葉水の回数を増やすことも大切です。ポリシャスは暑さに強い植物ですが、水耕栽培では水温管理がより重要になります。
秋(9月から11月)は成長が緩やかになる時期です。肥料の頻度を徐々に減らし、10月以降は施肥を控えめにします。気温の低下に合わせて室内の暖かい場所に移動させ、急激な温度変化を避けるよう配慮します。
冬(12月から2月)は休眠期に入るため、10℃以上の場所で管理することが最重要です。肥料の葉面散布は完全に止めます。ただし、暖房による乾燥には注意が必要で、葉水は継続して与えます。水温が極端に下がらないよう、室温に近い水を使用しましょう。ポリシャスは寒さに弱いため、この時期の管理が翌年の生育を左右します。
4、よくある問題と対処法(Q&A)
Q、ポリシャスの歯が黄色くなってきました。何が原因でしょうか?
A:葉が黄色くなる原因はいくつか考えられます。まず、一番下の古い葉が1〜2枚黄色くなる場合は、新陳代謝による自然な老化現象なので心配ありません。植物は古い葉に老廃物を溜めて落とし、新しい葉の成長にエネルギーを集中させる性質があります。この場合は黄色くなった葉を根元からハサミで切り取ってください。
一方、複数の葉が同時に黄色くなったり、新しい葉まで変色する場合は、水質の悪化や根腐れの可能性があります。特にポリシャスは水の汚れに敏感な傾向があるため、水が濁っていないか、異臭がしないか確認し、すぐに新鮮な水と交換しましょう。また、根が茶色く変色していたり、ぬめりがある場合は、傷んだ部分を清潔なハサミで切り除き、容器を洗浄してから新しい水で管理を再開してください。
Q、ポリシャスがぐったりして元気がありません。原因と対処法を教えてください。
A:ポリシャスがぐったりする原因として最も多いのは、温度不足と光量不足です。ポリシャスは熱帯植物のため15℃以下の環境では活力が低下し、ぐったりとした状態になります。まず置き場所の温度を確認し、20℃以上の暖かい場所に移動させてください。
次に光量を確認しましょう。ポリシャスは明るい環境を好むため、暗すぎる場所では株が弱ってしまいます。特に斑入り品種は光量不足で斑が薄くなり、全体的に元気がなくなることがあります。レースカーテン越しの明るい窓辺に移動させ、1日数時間は十分な明るさを確保してください。
また、根腐れの可能性も考えられます。根を確認して茶色く変色していたり、異臭がする場合は、傷んだ根を切り除き、新鮮な水で管理を再開してください。水位も重要で、根の一部が必ず空気に触れている状態を保ちましょう。
Q、水に緑色の藻が発生してしまいました。対処法は?
A:緑色の藻の発生は、光が当たりすぎることと栄養分の過多が主な原因です。まず容器の位置を調整し、直射日光の当たらない明るい場所に移動させてください。ポリシャスには十分な明るさが必要ですが、容器に直接光が当たると藻が繁殖しやすくなります。
容器と根を十分に洗浄し、新鮮な水道水と交換してください。藻が再発する場合は、容器をアルミホイルや遮光シートで覆い、光が直接水に当たらないよう工夫しましょう。肥料を与えている場合は一時的に中止し、藻の栄養源を断つことも効果的です。
根腐れ防止剤としてゼオライトやミリオンAを少量容器に入れると、水質安定化と藻の発生抑制に効果があります。ポリシャスの健康には影響しないため、予防的に使用することをおすすめします。
Q、ポリシャスの幹を太くする方法を教えてください。
A:ポリシャスの幹を太くするには、長期間の適切な管理と環境作りが重要です。水耕栽培でも十分に幹を太くすることができ、むしろ根の状態を観察しながら育てられるため、健康的な成長を促進できます。
まず、十分な光量を確保することが最も重要です。明るい間接光の環境で管理し、光が不足すると茎が細く徒長してしまいます。レースカーテン越しの窓辺で、1日数時間は安定した明るさを保ってください。
成長期である春から秋にかけては、月1回程度の液体肥料を葉面散布で与えることで、幹の充実を促進できます。特にチッソ分を含む肥料は茎や葉の成長に効果的です。ただし、濃すぎる肥料は根を傷めるため、必ず希釈して使用してください。
温度管理も重要な要素です。20から25℃の安定した環境で管理することで、植物が健康的に成長し、自然と幹が太くなります。冬場の低温期は成長が停滞するため、暖かい場所での管理を心がけましょう。
剪定も幹を太くする効果的な方法です。上部の枝を適度に剪定することで、植物のエネルギーが幹の充実に向かい、太く丈夫な幹に成長します。ただし、一度に大幅な剪定は行わず、段階的に行うことが大切です。
Q、ポリシャスの挿し木での増やし方とコツを教えてください。
A:ポリシャスの挿し木は比較的成功しやすく、5月から7月が最適な時期です。健康な枝を10から15センチ程度にカットし、下部の葉を取り除きます。切り口は斜めにカットして水を吸い上げやすくし、メネデールなどの発根促進剤を使用するとより確実です。
透明な容器に水道水を入れ、切り口が2から3センチ水に浸かるようにセットします。2〜3日に1回水を交換し、常に清潔な状態を保ちましょう。通常2〜3週間で白い根が出始め、根が5センチ程度に成長したら、そのまま水耕栽培として育てることができます。
挿し木が腐ってしまう場合は、水温が高すぎることが原因の場合が多いため、25℃前後の涼しい場所で管理してください。また、葉が水に触れないよう注意し、必要に応じて上部の葉も半分にカットして蒸散を抑えましょう。ポリシャスの挿し木は他の観葉植物と比較して成功率が高いため、複数本同時に挑戦することをおすすめします。
【この記事を執筆した人】WOOTANG代表/植物アーティスト。植物をもっと身近に気軽に育てて欲しいという想いから2020年に水だけ育てる観葉植物ブランド「 WOOTANG(ウータン)」を立ち上げる。その他「植物×アート」制作を行い、インテリア、空間デザイン、メディアなどを通して提案している。<プロフィールページを見る>
水だけで育てる観葉植物ブランド WOOTANG(ウータン)
水栽培・水耕栽培で育てる観葉植物/サボテン/マイクロ蘭/アボカドの種/球根などを販売中