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どんぐりの栽培

どんぐりの種を育てる完全ガイド|初心者でも成功する栽培テクニックと失敗しないコツ

【執筆者】中島大輔(WOOTANG代表)【最終更新日】2025年11月28日

秋の散策中に足元に転がる小さな茶色い実。それがどんぐりです。実は、このどこにでもある小さな実が、あなたの手で立派な緑の木へと成長させることができます。土がなくても、特別な園芸技術がなくても大丈夫。水を使った育て方なら、お部屋を汚さずに清潔に植物を楽しめます。

この記事では、秋に拾った実から春には新しい命が芽吹く感動を、誰でも体験できる育て方をご紹介します。拾う時期の見極めから、冬の間の管理、そして芽が出てくるまでの手順を分かりやすく解説していきます。

1、どんぐりを集めるベストタイミング

森に落ちているどんぐり

んぐりを集めるのに最適な時期は、9月下旬から11月上旬の秋本番です。この時期になると、公園や雑木林、街路樹の下などに茶色く色づいた実がたくさん落ちています。

良い実の見分け方は簡単です。手に取った時に「ずっしり」と重みを感じるもの、そして表面がふっくらとして艶やかなものを選びましょう。軽くてカサカサしているものや、表面に小さな穴が空いているものは避けてください。穴が空いている実は虫が入り込んでいる可能性が高いためです。

集める量は、失敗することも考えて予定している数の2倍程度を確保しておくと安心です。12月になると虫や野鳥が食べてしまって良い実が減ってしまうため、11月上旬頃までに集め終えることをおすすめします。

 

2、拾ってきたどんぐりの下準備(洗浄と選別)

どんぐりを洗う

家に持ち帰ったら、まずは実をきれいに洗います。容器に水を張り、その中でひとつひとつ丁寧に表面の汚れを落としていきます。このとき、観察してほしい重要なポイントがあります。

水に浮かんでくる実は、残念ながら使えません。浮くということは中身が空洞になっているか、虫に食べられている証拠です。沈んだ実だけを残して、浮いたものは処分しましょう。

洗い終わったら、そのまま水に一晩浸けておきます。この作業により実がしっかりと水分を吸収し、次のステップへの準備が整います。

 

3、冷蔵庫での長期保管(12月〜2月)

どんぐりを袋に入れて春化処理(長期保管)をしている様子

きれいに洗った実を、次は冷蔵庫で保管します。これは「春化処理」と呼ばれる大切な工程です。自然界では冬の寒さを経験することで、植物は春が来たことを感じ取り芽を出す準備を始めます。この自然のサイクルを冷蔵庫の中で再現するのです。

具体的な方法をご説明します。まず、新聞紙やキッチンペーパーを水で湿らせ、軽く絞ります。その湿った紙で実を包み、ジップロックなどの密閉できる袋に入れます。どんぐりは乾燥がとても苦手なので、この湿った状態を保つことが成功の鍵となります。

袋に入れたら冷蔵庫の野菜室へ。温度設定は5度前後が理想的です。この状態で2ヶ月から3ヶ月間、じっくりと低温にさらします。途中で袋の中が乾いていないか確認し、必要に応じて水分を補給してください。

 

4、育成環境の準備(2月〜3月)

どんぐりをハイドロボールで育てている様子

冷蔵庫での保管期間が終わる頃、育成を始める準備をします。ここからは水を使った育て方で進めていきます。必要なものは、ハイドロボールという軽石と、底が浅めの入れ物だけです。ハイドロボールは園芸店やホームセンター、100円ショップでも手に入ります。

容器の底にハイドロボールを敷き詰めたら、冷蔵庫から出した実を横向きに置きます。なぜ横向きかというと、尖っている先端部分から芽と根の両方が出てくるため、横に寝かせることでどちらもスムーズに伸びることができるからです。

実を置いたら、周りにハイドロボールをかぶせて、実の半分が包まれるようにします。最後に水を注ぎますが、ここが重要なポイントです。水の量は実の一部分だけが触れる程度にとどめます。実全体が水に浸かってしまうと腐ってしまう危険性があるため、注意が必要です。

 

5、芽が出るまでの管理(3月から4月)

どんぐりを水耕栽培している様子

セット完了後は、直射日光の当たらない明るい場所に置きます。窓から少し離れた室内の明るいスペースが適しています。

水は2日から3日に1回のペースで足していきます。このとき毎回確認してほしいのが、実が水に浸かりすぎていないかどうかです。常に底から少し水が溜まっている状態を保ちつつ、実は水面より上にある状態をキープします。

乾燥は大敵です。どんぐりの木は森の中で育つ植物なので、湿度のある環境を好みます。特に暖房を使う時期は室内が乾燥しやすいため、水切れには十分気をつけましょう。

待つこと1週間から2週間。早いものでは白い根が顔を出し始めます。根が伸びてきたら順調に育っている証拠です。さらに数週間経つと、今度は緑色の小さな芽が現れます。

 

6、芽が出た後の育て方(4月から)

どんぐりを専用容器で水耕栽培している様子

苗から芽が出て10cmほどに成長したら、観賞用の容器に移し替えることができます。透明なガラス容器を使えば、根の成長も見られて楽しみが増えます。

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容器に移した後も、水の管理は変わりません。常に根が水に触れている状態を保ち、週に1回から2回は新鮮な水に交換してあげましょう。夏場は水の蒸発が早いため、毎日の確認が必要になります。

芽が出て葉が広がり始めたら、置き場所を変更します。今度は太陽の光がたっぷりと当たる場所へ移動させましょう。窓際の日当たりの良いスペースが最適です。

どんぐりの木は、室内で育てる観葉植物とは違い、強い光を必要とします。森の中で太陽に向かって伸びる木ですから、できるだけ日光浴をさせてあげてください。もし可能であれば、ベランダや庭など屋外に置くとより元気に育ちます。

気温が20度を超えてくる時期になると、成長スピードが加速します。5月頃には葉が数枚に増え、茎もしっかりとしてきます。この頃になると、より大きな容器に移してあげると良いでしょう。

 

7、長く育てるためのポイント

どんぐりの水耕栽培

順調に育ってくると、葉がどんどん増え、茎も太くなってきます。しかし、水だけで育てる場合、栄養が限られているため、いずれは成長が鈍くなります。

長期間育てたい場合は、液体肥料を薄めて与えることをおすすめします。水耕栽培専用の肥料を使い、説明書に記載された濃度よりもさらに薄めて使用すると安全です。月に1回程度の頻度で十分です。

また、年間を通して置き場所を工夫することも大切です。春から秋にかけては屋外やベランダで太陽をたっぷり浴びせ、冬は室内の明るい窓際に移動させます。風通しも重要なので、室内で育てる場合は定期的に窓を開けて新鮮な空気を取り込みましょう。

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8、よくある失敗とその対処法

育てている途中で起こりがちな問題と、その解決方法をお伝えします。

最も多い失敗は、実が腐ってしまうことです。原因の多くは水のやりすぎです。実が完全に水に浸かった状態が続くと、酸素不足で腐敗します。必ず実の一部だけが水に触れる程度にコントロールしましょう。

次に多いのが、芽が出ないケースです。これは冷蔵庫での保管期間が短すぎることが原因かもしれません。最低でも2ヶ月、できれば3ヶ月はしっかりと低温にさらしてください。また、冷蔵庫内で乾燥してしまった場合も発芽しにくくなるため、定期的に湿り具合を確認しましょう。

葉が黄色くなってきた場合は、日光不足栄養不足が考えられます。より日当たりの良い場所に移動させるか、薄めた液体肥料を与えてみてください。

 

まとめ

秋の公園で拾える小さな実から、緑豊かな植物を育てる喜び。特別な道具も高度な技術も必要ありません。必要なのは、ほんの少しの手間と植物への愛情だけです。

10月に実を集め、冬は冷蔵庫でゆっくりと春を待ち、暖かくなる頃に芽吹きの瞬間を迎える。この一連の流れは、自然のリズムを身近に感じられる素晴らしい体験となるはずです。

失敗を恐れず、まずは気軽にチャレンジしてみてください。水の管理さえ気をつければ、初めての方でも十分に育てることができます。あなたの手で育てた小さな木が、やがて大きく成長していく姿を、ぜひ楽しんでください。