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ドラセナの水耕栽培

ドラセナの水耕栽培|育て方から水挿しで増やすコツまで徹底解説

【執筆者】中島大輔(WOOTANG代表)【最終更新日】2025年8月6日

ドラセナの水耕栽培は、土を使わずに清潔で手軽に楽しめる栽培方法として注目されています。「幸福の木」として親しまれるドラセナは、耐陰性が強く初心者でも育てやすい観葉植物です。特にドラセナサンデリアーナなどは水との相性が良く、透明な容器で育てれば根の成長を観察する楽しみもあります。

この記事では、ドラセナの水耕栽培の始め方から、水の交換頻度、置き場所、葉が黄色くなる原因と対処法、冬の管理方法、水挿しで腐る失敗を防ぐコツまで解説します。

1、ドラセナの特徴と魅力

ドラセナは熱帯アフリカや熱帯アジアを原産とする観葉植物で、その美しい葉の模様と育てやすさから、インテリアグリーンとして高い人気を誇っています。「幸福の木」という別名でも親しまれ、古くからハワイでは家の前や玄関に置くことで幸運を呼び込むと信じられてきました。

ドラセナ

ドラセナの最大の魅力は、約50種類以上という豊富な品種バリエーションです。竹のような節が特徴的なドラセナサンデリアーナ、剣のようにシャープな葉を持つコンシンネ、黄色い縦縞が美しいマッサンゲアナなど、それぞれの品種が独特の個性を持っています。葉の色も緑一色のものから、白や黄色の斑入り、赤みを帯びたものまで多彩で、インテリアのアクセントとして部屋の雰囲気を演出できます。

水耕栽培においてドラセナは特に適した植物です。サトイモ科に近い性質を持つドラセナは、根がしっかりと水に適応しやすく、土を使わずに清潔に育てることができます。透明な容器を使用すれば、根の成長過程を観察できる楽しみもあり、視覚的にも魅力的なインテリアとなります。また、水耕栽培なら土からの害虫の心配がほとんどなく、室内での管理がより簡単になるという利点もあります。

ドラセナの水耕栽培

 

さらにドラセナは耐陰性が強く、直射日光が当たらない室内でも葉色を保ちながら育つため、日当たりがあまり良くない場所でも栽培可能です。成長速度も比較的ゆっくりなため、コンパクトなサイズを保ちやすく、デスクや棚の上など限られたスペースでも楽しめます。

WOOTANG代表・中島
WOOTANG代表・中島
さらにドラセナには空気清浄効果も期待でき、室内の有害物質を除去する働きがあるとされていますよ。

 

2、ドラセナの水耕栽培の始め方

ドラセナの水耕栽培を始める際は、まず水に適応した株を用意することが大切です。水だけで育てる観葉植物ブランド「WOOTANG(ウータン)」では水耕栽培用のドラセナを販売しているので、購入すればすぐに栽培を開始できます。

①植物を器にセットする

ドラセナを器にセットする様子

水耕栽培に使用する容器は、ガラスやプラスチック製の透明なものがおすすめです。透明な容器なら根の状態や水位が一目で確認でき、管理が容易になります。また、容器はドラセナの茎がぐらつかないよう、しっかりと固定できることが重要です。WOOTANGの水耕栽培専用の容器なら器(ガラス製)とふた(木製)がセットになっているので、簡単に植物を固定できます。

 

②水を入れる

ドラセナの器に水を入れている様子

容器に水を入れる際は、必ず水道水を使用してください。浄水器を通した水や蒸留水は塩素が除去されているため、雑菌が繁殖しやすくなります。水道水に含まれる微量の塩素が、水の腐敗を防ぐ役割を果たします。水温は室温程度が理想的で、極端に冷たい水や熱い水は避けましょう。

 

③理想的な水の量

水耕栽培のドラセナが器の中で水に浸かっている様子

ドラセナの水耕栽培における理想的な水位は、根の半分から3分の2が浸かる程です。容器の形状にもよりますが、根の上部1/3程度は空気に触れている状態を保つことで、根は水分と酸素の両方を効率よく取り込むことができます。ただし、ドラセナは水をよく吸うので水切れしないように注意しましょう。夏は水切れ防止のため、根全体が浸かる程度入れても問題ありません。成長に応じて根の長さも変わるため、定期的に水位を調整することが大切です。

 

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水耕栽培のドラセナサンデリアーナ

 

3、日々のケアと管理方法

水耕栽培でドラセナを健康に育てるためには、適切な環境設定と継続的なケアが不可欠です。土栽培とは異なる管理ポイントを理解し、植物の状態を観察しながら最適な環境を整えることが成功の鍵となります。

①置き場所

ドラセナを明るい室内に置いて育てている様子

ドラセナは直射日光を避け、明るい間接光の当たる場所で管理するのが理想的です。レースカーテン越しの窓辺や、窓から少し離れた明るい室内が最適な置き場所となります。耐陰性があるため日陰でも育ちますが、あまりに暗い場所に長期間置くと、茎が細く弱々しくなる徒長を起こしたり、葉の色が薄くなったりすることがあります。春から秋の生育期は風通しの良い半日陰で管理し、植物が健康的に成長できる環境を整えましょう。

冬場の管理には特に注意が必要です。窓際は夜間に急激に温度が下がるため、夕方以降は部屋の中央に移動させることをおすすめします。ドラセナの生育適温は20~25℃前後で、10℃を下回ると生育が停滞し、5℃以下では枯れる危険性があります。エアコンやヒーターの風が直接当たる場所も避け、安定した温度環境を保つことが大切です。

【参考記事】豊かなくらしに寄与する光/光と植物-植物工場(文部科学省)

 

②水の交換頻度と水質管理のコツ

水耕栽培のドラセナに水やりをしている様子

基本的に週1回は減った分の水を補充し、水位を一定に保ちましょう。また、2~3週間に1度は容器内の水を完全に交換し、新鮮な水と入れ替えます。この際、容器の内側にぬめりや藻が発生している場合は、スポンジなどで丁寧に洗浄しましょう。水替えの際に根を優しく水で洗い流すことで、根に付着した老廃物を除去できます。

特に夏場は水温が上昇すると、水の中の溶存酸素量が減少し、根が酸素不足になりやすくなります。そのため、夏の間はこまめ水を交換してあげると、ドラセナはより元気に育ちます。

ドラセナに葉水をしている様子

また、ドラセナは空中湿度を好むため、霧吹きで葉水を与えると葉がより生き生きとし、葉先の枯れを予防する効果もあります。特に冷暖房で室内が乾燥しやすい時期は、1日1~2回の葉水が効果的です。

 

③適切な肥料の選び方と与え方

水耕栽培でドラセナを現状のサイズで維持する場合、基本的に肥料は必要ありません。しかし、より大きく成長させたい場合や、葉の色つやを良くしたい場合は、適切な施肥が効果的です。水耕栽培では液体肥料を使用し、春から秋の生育期に月1回程度の頻度で与えます。

水耕栽培のドラセナに肥料を葉面散布している様子

肥料を与える際の重要なポイントは、水に直接高濃度の肥料を入れないことです。濃い肥料は根を傷め、根腐れの原因となります。おすすめの方法は、液体肥料を葉面散布することです。霧吹きに入れて葉の表裏にまんべんなく散布すれば、葉から直接栄養を吸収でき、根への負担を最小限に抑えられます。水耕栽培に適した肥料としては、ハイポネックス原液やハイポニカ液体肥料などがあり、これらは水耕栽培専用に配合されているため安心して使用できます。

 

④季節ごとの管理ポイント

春(3月~5月は新芽が動き始める時期です。明るい日陰で管理し、水温が15℃以上になったら月1回程度の施肥を開始します。葉水を1日1~2回与えて湿度を保ち、新芽の成長を促進させましょう。この時期は植え替えや株分けにも適しています。

夏(6月~8月)は生育が最も活発な時期ですが、高温による水質悪化に注意が必要です。水温が30℃を超えないよう、直射日光を避けて風通しの良い場所で管理します。水の交換頻度を増やし、1~2週間に1度は完全に交換しましょう。冷房による乾燥対策として、葉水の回数を増やすことも大切です。肥料は薄めに調整し、株の様子を見ながら与えます。

秋(9月~11月)は成長が緩やかになる時期です。肥料の頻度を徐々に減らし、10月以降は施肥を控えめにします。気温の低下に合わせて室内の暖かい場所に移動させ、急激な温度変化を避けるよう配慮します。

冬(12月~2月)は休眠期に入るため、10℃以上の場所で管理することが最重要です。肥料は完全に止め、水の交換も3~4週間に1度程度に減らします。ただし、暖房による乾燥には注意が必要で、葉水は継続して与えます。水温が極端に下がらないよう、室温に近い水を使用しましょう。

 

4、よくある問題と対処法

水耕栽培でドラセナを育てていると、さまざまな問題に遭遇することがあります。ここでは、よく寄せられる質問と具体的な対処法を詳しく解説します。

Q、ドラセナの葉が黄色くなってきました。何が原因でしょうか?

A:葉が黄色くなる原因はいくつか考えられます。まず、一番下の古い葉が1~2枚黄色くなる場合は、新陳代謝による自然な老化現象なので心配ありません。植物は古い葉に老廃物を溜めて落とし、新しい葉の成長にエネルギーを集中させる性質があります。この場合は黄色くなった葉を根元からハサミで切り取ってください。

一方、複数の葉が同時に黄色くなったり、新しい葉まで変色する場合は、水質の悪化や根腐れの可能性があります。水が濁っていないか、異臭がしないか確認し、すぐに新鮮な水と交換しましょう。また、根が茶色く変色していたり、ぬめりがある場合は、傷んだ部分を清潔なハサミで切り除き、容器を洗浄してから新しい水で管理を再開してください。

 

Q、ドラセナの葉先だけが枯れてしまいます。どうすれなよいでしょうか?

A:葉先の枯れは、水分や栄養が葉の先端まで十分に届いていないサインです。水耕栽培では特に夏場の水温上昇により水質が悪化しやすく、根の機能が低下することがあります。対処法として、まず水の交換頻度を増やし、常に新鮮な水を保つようにしましょう。2週間に1度だった水交換を週1回に増やすだけでも改善が見られることがあります。

また、室内の乾燥も葉先枯れの大きな原因となります。特に冷暖房を使用する時期は、空気が極端に乾燥します。霧吹きで葉水を1日2~3回与えることで、葉の水分バランスを保ち、葉先まで栄養が行き渡りやすくなります。枯れた部分は見た目も悪いので、清潔なハサミで斜めにカットし、自然な葉の形に整えましょう。

 

Q、ドラセナが冬になって元気がなくなりました。冬場の管理で注意すべき点は?

A:ドラセナは熱帯植物のため、寒さが苦手です。冬場は必ず室温10℃以上を保ち、できれば15℃以上の環境で管理しましょう。窓際は夜間に急激に冷え込むため、夕方以降は部屋の中央に移動させることが大切です。また、暖房器具の温風が直接当たると、葉が乾燥して傷むので注意が必要です。

冬は成長が停滞する休眠期なので、水の吸収量も減少します。水位は通常より少し低めに保ち、根の呼吸を確保しましょう。水の交換も月1~2回程度で十分ですが、暖房で室内が乾燥するため、葉水は継続して与えてください。この時期に肥料を与えると根を傷める原因となるので、施肥は完全に停止します。

 

Q、根がヌメヌメしています。これは正常でしょうか?

A:軽いぬめりは植物が分泌する保護物質の場合もありますが、多くの場合は雑菌やバクテリアの繁殖が原因です。放置すると根腐れに発展する可能性があるため、早めの対処が必要です。まず、ドラセナを容器から取り出し、流水で根を優しく洗い流します。茶色く変色した根や、柔らかくなった根は清潔なハサミで切除してください。

容器も熱湯消毒するか、食器用洗剤で洗浄してからよくすすぎます。新しい水道水を入れ、最初の1週間は3日に1回水を交換して、雑菌の再繁殖を防ぎましょう。市販の根腐れ防止剤を少量加えることも効果的です。また、水温が高いと雑菌が繁殖しやすいので、特に夏場は涼しい場所で管理することが大切です。

 

Q、ハイドロカルチャーへの移行はできますか?

A:水栽培で育てたドラセナは、ハイドロカルチャーへの移行も可能です。移行は5~6月の生育期初期が最適で、根を傷めないよう丁寧に作業を行います。ハイドロカルチャーなら根の固定がしっかりでき、水位の管理も容易になるため、長期的な栽培に適しています。

 

5、ドラセナを挿し木(水挿し・水差し)で増やす方法

ドラセナは水挿しによる増殖が比較的簡単にできる植物です。土で育てたドラセナから健康な枝を切り取って水に挿すだけで発根し、新しい株として育てることができます。この方法なら土を使わずに済むため、室内でも清潔に作業ができ、発根の様子を観察する楽しみもあります。

水挿しに最適な時期は5月から7月です。この時期は気温が20~25℃程度で安定し、ドラセナの生育が活発になるため発根率が高くなります。真夏の猛暑期は水温が上がりすぎて腐りやすく、秋以降は成長が鈍るため避けたほうが良いでしょう。特に冬場の水挿しは、低温のため発根せずに腐ることが多いので控えてください。

挿し穂の準備として、まず元気な茎を選びます。病気や害虫の被害がなく、しっかりとした太さのある茎が理想的です。茎を15~20cm程度の長さで、節の下から斜めに切り取ります。切り口を斜めにすることで、水を吸い上げる面積が広くなり、発根しやすくなります。葉は水分の蒸発を抑えるため、下部の葉は取り除き、上部の葉も半分程度にカットします。

挿し木用のドラセナの挿し穂

水挿しの容器は透明なガラス瓶やペットボトルなどを使用し、切り口が2~3cm程度水に浸かるようにセットします。水は必ず水道水を使用し、直射日光の当たらない明るい場所で管理します。発根を促進したい場合は、市販の発根促進剤を使用すると効果的です。

管理のポイントとして、水は2~3日に1回交換し、常に清潔な状態を保ちます。水温が高くなりすぎないよう注意し、25℃前後を維持することが理想的です。通常2~3週間で白い根が出始め、根が5cm程度に成長したら、そのまま水耕栽培として育てるか、ハイドロカルチャーや土に植え替えることができます。

水挿しで腐ってしまう原因の多くは、水質の悪化と高温です。切り口がぬめってきたら、すぐに洗い流して切り口を新しく切り直し、容器も洗浄してから再挑戦しましょう。また、葉が水に浸からないよう注意することも大切です。葉が水に触れていると、そこから腐敗が始まることがあります。

発根後の管理では、根が十分に成長したら通常の水耕栽培と同じ管理方法に移行します。最初は薄めの液体肥料から始め、徐々に通常の濃度に近づけていきます。新しい葉が展開し始めたら、挿し木の成功です。親株と同じように大切に育てれば、数年後には立派な株に成長します。

 

6、まとめ

ドラセナの水耕栽培は、適切な管理方法を理解すれば初心者でも十分に楽しめる栽培方法です。以下、成功のための重要ポイントをまとめました。

水耕栽培の基本管理

  • 水は必ず水道水を使用(浄水は雑菌が繁殖しやすい)
  • 水位は根の半分から2/3が浸かる程度が理想的
  • 週1回の水の補充と、2〜3週間に1度の完全交換が基本
  • 透明な容器を使用すると根の状態確認が容易

環境管理のポイント

  • 直射日光を避けた明るい間接光の場所に設置
  • 生育適温は20〜25℃、冬は10℃以上を維持
  • 葉水を1日1〜2回与えて湿度を保つ(特に冷暖房使用時)
  • 風通しの良い場所で管理し、エアコンの直風は避ける

トラブル対処法

  • 葉が黄色くなる:下葉1〜2枚なら自然な老化、複数なら水質悪化をチェック
  • 葉先が枯れる:水交換頻度を増やし、葉水で乾燥対策
  • 根のぬめり:流水で洗浄後、容器を消毒して新しい水で管理
  • 冬の管理:暖かい場所に移動、水交換は月1〜2回、肥料は停止

水挿しで増やすコツ

  • 5月〜7月が最適期(気温20〜25℃)
  • 健康な茎を15〜20cm斜めにカット
  • 葉は半分に切って蒸散を抑制
  • 2〜3日ごとに水交換し、2〜3週間で発根
  • 水挿しで腐る場合は水温管理と清潔な環境維持が重要

ドラセナサンデリアーナなど水に適応しやすい品種から始めると成功率が高まります。ハイドロカルチャーへの移行も可能で、長期的な栽培にも適しています。水耕栽培なら土を使わず清潔で、虫の心配もなく、インテリアとしても楽しめます。適切な水の管理と環境設定を心がければ、美しいドラセナを長く楽しむことができるでしょう。